ライナーノーツ<3>~遠い場所の君へ~

「こういう文章を書いてみたい」

そんな衝動が起こるのは、他の人が作った文章や音楽や映像などに触れた瞬間が、きっかけになることが多い。

全てをネタバレしないけど、NHKでジブリのドキュメンタリー番組を見ていて『ゲイブログを書く前後』を書きたくなったり、永井荷風の『濹東綺譚』を読んで『住吉奇譚集』を書きたくなったりと、少なからず他の人の作った作品に影響を受けて文章を書いている。

このサイト上で文章を書き始めからというもの、何かの作品に触れて「これは面白い」と感じる度に、「どうにかして自分流に何か取り込むことができないか?」という視点を持つようになった。それまでは他の人が作った作品を、ただ鑑賞して楽しむだけだったけど、この心境の変化は大きい。

そして、この『ライナーノーツ』という章を書いてみたいと思ったきっかけは、工藤慎太郎さんのブログにあるライナーノーツのカテゴリーと、CD『慎太郎行進曲』の歌詞カードに、歌詞と一緒に書かれていたライナーノーツを読んだのがきっかけだ。彼の書いたライナーノーツには、曲を作った背景がたんたんと綴られていて、ボクは夢中になって繰り返し読んだ。彼がどういう思いを込めて作品を作っているのかを知ることができた。

近年、映画にしてもドラマにしても漫画本にしても、ドキュメンタリー形式の作品を目にする機会が多くなっている。作品を作る際の過程や背景を描いた作品が多く作られるようになった。

ちなみボクが今読んでいるのは藤子不二雄Aが描いた『まんが道』というマンガ本だ。このマンガ本も、前半は藤子不二雄Aと藤子F不二雄が上京して漫画家になるまでの道のりで、中盤からは手塚治虫や赤塚不二夫や石森章太郎を始め、マンガ界の巨匠と言われる人たちとトキワ壮で過ごした日々が中心に書かれている。ほとんどドキュメンタリーに近いマンガ本だ。

こういったドキュメンタリー形式の作品が流行っているのには、現代の時代背景があると感じていて、きっと自分でも何かを作ってみたいと考えている人が増えているのだろう。それで他の人がどうやって作品を作っているか興味があるのだろう。

天神で行われた工藤慎太郎さんのライブに行ってから、もうすぐ1年が経つ。

とっくに彼の手の平から卒業したつもりだったけど、どうやらボクはまだ彼の手の平にいるようだ。このサイトを始める一つのきっかけをくれて、文章を書き続けるきっかけをくれた、一歳年上の彼は今も変わらず歌い続けている。彼と直接交わした言葉は挨拶程度のものだったけど、先輩のような兄のような不思議な存在だと感じている。

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