第18章 はじめての有料ハッテン場

はじめての有料ハッテン場<20>

有料ハッテン場では多くの人に出会って語り合いをしながら肉体関係を持ってきた。その中で、ボクとかなり似た価値観を持つ人にも出会ったことがある。相手も気が合うと思ってくれて、お互いの携帯番号やメールアドレスを交換した。何度か店で待ち合わせして…

はじめての有料ハッテン場<19>

有料ハッテン場では若いというだけで結構モテてしまう。でも複数の人から相手構わずにバックを受け入れている二十代を見ると、ボクが慎重すぎるのもあるだろうけど、すごく無謀な生き方をしているように感じてしまう。 ボクはちょうど三十代の中盤になった。…

はじめての有料ハッテン場<18>

店を出てエレベータに乗り、人目につかないタイミングを見計らってビルから出た。そして周囲の目を気にしながら歩いていた。二十一時くらいに店に入って、店を出た時には日付が変わっていたけど、河原町通りはまだ人通りが多かった。何か後ろめたい気持ちに…

はじめての有料ハッテン場<17>

奥の休憩室には三人いた。その中には店に入る時に一緒に入った男性もいた。三人ともボクよりは年上だった。四階と三階にいた人数を頭に思い浮かべながら数えてみると、店全体で十五人くらい、お客がいたのではないかと思う。 ボクは喫煙をしないので、部屋に…

はじめての有料ハッテン場<16>

手を振りながらメガネの男性は階段を登っていった。彼の姿が見えなくなってから、ふとある事実に思い至った。 「もしかして既婚者と寝たってことはボクのしたことって不倫の片棒を担いだことになるのかな?」 男性との肉体関係二回目にして既に不倫の領域に…

はじめての有料ハッテン場<15>

「このハッテン場で出会って、付き合ったりしてる人っているんですかね?」 ボクは気になっていたことを訊いてみた。 「多分いないと思うよ。そもそもハッテン場に来てる時点で、セックスが目的だから難しいと思う。付き合うとか健全なことが目的ではないか…

はじめての有料ハッテン場<14>

既に個室に入ってから、一時間近く経っていた。ボクらの会話は続いていた。 「多分……君って同年代より年上の男性にモテると思うよ」 その言葉を聞いた時、前に出会ったイサムさんにも同じことを言われたのを思い出した。ボクは試しに理由を訊いてみた。 「同…

はじめての有料ハッテン場<13>

「そちらは何の仕事をしてるんですか?」 「京都市内の銀行に勤めてる。職場ではゲイのことを隠してるから同僚に会わないかヒヤヒヤしながら店に来てるんだ」 「銀行か……見た感じのイメージにぴったりですね。ボクも大学の友人にはゲイなのを隠してるんです…

はじめての有料ハッテン場<12>

「すみません……そろそろ行きますね」 ボクは寝ている短髪の男性に声をかけた。彼は微かにうなずいてから繋いだ手を離してくれた。 ボクらは手を繋いで、まっすぐに伸びている通路の途中にある個室に入った。通路には相変わらず何人かの男性が壁に寄りかかっ…

はじめての有料ハッテン場<11>

三人(実質は二人だけど)で十五分間くらい攻め続けていただろうか。短髪の男性は大きな声を出してイってしまった。 短髪の男性はぐったりと目をつぶって横になっていた。マッチョな男性はテッシュで自分の手を拭いてゴミ箱に捨てると、さっさと部屋から出て…

はじめての有料ハッテン場<10>

「複数でもいい?」 マッチョな男性は短髪の男性にささいた。短髪の男性はボクの顔を見たまま頷いた。 「複数? それはボクも一緒にやるってこと?」 こんなことになるなんて予測していなかったので戸惑っていた。でも今更、「すみません……はじめて店に来た…

はじめての有料ハッテン場<9>

はじめて有料ハッテン場に来ただけあって、目新しいことばかり続いていた。 「なるほど! ゲイの世界ってこうなっているのか」 ボクは妙なことに感心しながら暗闇の中を歩いていた。とりあえず休憩室に移動して少し頭の整理でもしようかと思い、ハッテンスペ…

はじめての有料ハッテン場<8>

ボクは来た道を戻り始めた。途中で真っ直ぐに長く伸びている通路があった。さっきより人が増えて、その通路の壁に三人の男性が寄りかかって立っていた。部屋の中はほぼ真っ暗なので、顔の識別もできなかったけど、三人ともボクよりは年上に見えた。ちょうど…

はじめての有料ハッテン場<7>

四階のハッテンスペースと違って、三階はほとんど照明がなく、すれ違う人の顔も判別ができないくらいだった。暗闇の中、非常口を案内する照明だけが目立っていた。 とりあえず発展スペースの全体図を把握したかったので、道がなくなるまで進んでみた。途中に…

はじめての有料ハッテン場<6>

四人のうち一人が金網にしがみつき、その人のバックを残りの三人が交互に攻めはじめていた。四人とも部屋中に響くような激しい声を上げていた。 ボクは部屋の入り口に突っ立ったまま、四人の姿を金網越しに凝視していた。はじめは興奮して見ていたけど、少し…

はじめての有料ハッテン場<5>

店の奥に進むとすぐ右手に階段があり、まっすぐ先には部屋があった。サポーターは四階と三階が店舗になっていた(三階にはエレベーターは止まらないようになっている)。ボクは階段を降りずに、まずは四階のハッテンスペースに入ることにした。 「お邪魔しま…

はじめての有料ハッテン場<4>

ロッカールームに行くと先に入った男性がいた。ただ、さっきまでと明らかに様子が違っている点が一つあって、既に「全裸」になっていたのだ。そして全裸のまま椅子に座ってタバコを吸っていた。その男性はあまり運動をしていないのか、お腹の肉が垂れていた…

はじめての有料ハッテン場<3>

カーテンで仕切られて、受付の店員の顔は見えなかった。でも人の気配は感じたのでボクは勇気を出して声をかけた。 「あのはじめてなんですけど……いいですか?」 カーテン越しに若い男性の声がした。「学生ですか?」 「あっ。はい!」 「学生証を持ってます…

はじめての有料ハッテン場<2>

横断歩道の人ごみをかき分けてボクは向かいのビルを目指して走っていた。ビルに辿り着くと、エレベーターのドアは閉まりかけていた。ボクは慌てて開ボタンを押して、エレベータに飛び込んだ。エレベータの中には、三十代後半くらいの男性がいたが、飛び込ん…

はじめての有料ハッテン場<1>

雨が降る夜だった。ボクはコンビニで立ち読みをするふりをして、道路向かいのビルの様子を伺っていた。 目的のビルに着ついてから、かれこれ一時間近く経っていた。ボクはビルの周りを何度も往復して、ビルの一階にあるエレベーターの前まで来たが、エレベー…