ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

第18章 住吉奇譚集

住吉奇譚集<17>

年配の男性は窓を開けて「暑い暑い!」とぼやいていた。ボクはベッドから起き上がって、窓の方に歩いた。彼はベッドに座ったまま、身を乗り出して窓から顔を突き出していた。ボクも一緒になって窓から顔を出した。三階の窓から住吉の夜の街並みが少しだけ見…

住吉奇譚集<16>

ボクは彼がシャワーを浴び終えるまでの間、二階や三階を行ったり来たりすることにした。どの敷布団にもベッドにも誰かしらが寝ていた。 既に深夜三時を過ぎて四時になろうとしていた。みんなぐっすりと眠っていた。歩きながら周囲の音に耳を澄ませていると、…

住吉奇譚集<15>

「そろそろイキますか?」 ボクは気軽な感じで訊いた。ずっと抱き合ったまま雑談していたので、なんだか彼とは昔からの知り合いのような気分になっていた。 「うん。イきたいけど、このままずっと朝まで抱き合っていたい気もする」 彼の言葉を聞いて、ボクは…

住吉奇譚集<14>

ボクが年配の人たちが手を出して来るのを断り続けていると、少し若い感じの人が部屋に入って来た。先ほど見かけた四十代前半ぐらいのメガネをかけた男性だった。少し顔を近づけて、ボクの顔を見ると、「おっ……こいつ他のメンバーより若いな」と驚いた顔をし…

住吉奇譚集<13>

ボクはしゃがんで壁にもたれかかったまま、年配の男性たちの過激なセックスを見ていた。 この人たちに子供はいるのだろうか?いや……年齢的には孫がいてもおかしくないはずだ。 そう考えていた。彼らの青春時代は今から四十年から五十年くらい前になるだろう…

住吉奇譚集<12>

真っ暗な闇の中を手探りで、三階までたどり着いた。 店内にいる合計人数は約十五人で、三十代はボクをいれて二人。四十代が一人。残りは軽く五十代は超えているメンバーばかりで最年長は七十歳は超えていた。 その店は三階建ての建物だ。 年配の客には階段を…

住吉奇譚集<11>

ボクは休憩室をのぞいた後、ロッカールームに戻っていた。先ほど見た光景に、ただ驚いていた。四人ほどいたけど、全員が五十歳後半か、軽く六十歳中盤を超えてている人ばかりだった。もしかすると……七十歳を超えている人もいたかもしれない。 どうしよう……来…

住吉奇譚集<10>

どうみても……普通の民家だよね? 地図アプリの示していた、目的の住所に到着していたけど、目の前にあった建物は、三階建の民家だった。 もしここが有料ハッテン場ではなくて、普通の民家だったら、深夜一時に民家のベルを鳴らした不審人物になってしまう。 …

住吉奇譚集<9>

一番活発に活動していた大学時代にも一晩で有料ハッテン場をはしごしたことはなかったけど、いつの間にか、ボクの中ではワクワクした気持ちで一杯になっていた。 一階のロッカールームに行って、スマホを取り出してきて、誰もいないパソコン部屋の椅子に座っ…

住吉奇譚集<8>

鏡に映った自分の姿は、二十代の頃の体付きとは大きく違っていた。まだ太ってはないけど、目の前を歩いていく二十代の男性たちのような若々しい引き締まった体ではなくなっていた。ボクは急速に自分に対する自信を無くして、思わず鏡から目をそらしていた。 …

住吉奇譚集<7>

通常の有料ハッテン場の人口構成を考えると、三十代から四十代前半にかけてが一番多いように感じていた。ボクは人口構成の一番多い三十代中盤だった。もちろん東京などの大規模な有料ハッテン場になると、もっと人口構成は変わってくるけど、福岡の有料ハッ…

住吉奇譚集<6>

奥に向かって足を踏み出したボクの目の前には、いきなり二階に上がる階段があった。 まずは一階の様子を見てから二階に上がろうかな? そう思って、右に曲がりまっすぐに伸びている廊下を歩いた。廊下の左手には三つほど部屋があった。 一つ目の部屋は、テレ…

住吉奇譚集<5>

暗いまっすぐな道を進むとロッカールームに着いた。 店内の配置図はホームページになかったので、この先がどんな間取りになっているのか進んでみるまで分からなかった。まずはロッカーキーに書かれた番号を見ながら、自分のロッカーを探していると、奥の方か…

住吉奇譚集<4>

ボクは門の前で一分くらい躊躇して立ち止まっていた。すると二十代後半くらいの男性が住吉のひょうたん池の方から歩いて来た。その男性は門の前に立っているボクと目が合うと、一瞬躊躇したように歩みを止めた。 きっとこの人もゲイ仲間だろうな。 お互いに…

住吉奇譚集<3>

渡辺通り沿いを歩いていたが、天神南の交差点から路地裏に入ることにした。まずは住吉に向かえばいいことは分かっていたので、路地裏を斜めに突っ切って住吉通りまで出ることにした。路地裏の飲み屋から、焼き鳥を焼くの匂いがした。あまり治安のよさそうな…

住吉奇譚集<2>

終点の西鉄天神駅に着いた。 ボクは知り合いに顔を合わせないよう急いで電車を降りて、中央改札口をくぐった。そしてエスカレーターを降りた。エスカレーターの出口には沢山の人がたむろしていた。土曜日の二十一時過ぎ。今から大名などの繁華街で遊ぶ人たち…

住吉奇譚集<1>

立ち止まったボクの目の前にはビルの谷間の不自然な門構えの一軒家があった。 ここは福岡市内の住吉。福岡のゲイタウンである。規模は全く違うけれど、東京でいうところの新宿二丁目のような場所にあたる。 ボクは西鉄天神・大牟田線の沿線沿いに住んでいる…