第24章 同性愛者が存在する確率

同性愛者が存在する確率<9>

もう……金子君と会うことはないだろう。 そう思ってボクは彼とのメールのやりとりを全て削除した。もしかしたら彼の口から地元の同級生の同性愛者仲間に、ボクと出会ったことが知られるかもしれないけど、そこは心配していなかった。しょせん同性愛者の仲間内…

同性愛者が存在する確率<8>

「表現が直球だね……」「まどろっこしいのは嫌いだから。ボクは小学時代の同級生とヤるのは嫌だよ」 でも心の中では、彼とヤれないわけではないと思っていた。もし有料ハッテン場で同級生と知らないまま彼と出会ったら、恐らく肉体関係を持っていただろう。で…

同性愛者が存在する確率<7>

ボクは驚きながら言った。こんな話を聞くと、よくクラス内に二、三人は同性愛者がいるという説は間違っていないように思えた。 「他にもゲイぽい奴はいたと思うよ。例えば▲▲君とか。俺の予想だとあいつって神原のこと好きだったと思うよ」 実は▲▲君がゲイか…

同性愛者が存在する確率<6>

「そういえば、他校の方まで広まってたんだけど、ボクがホモだって噂とか聞いたことがなかったの?」 彼と会ってからずっと気になっていることだった。ボクと金子君とは中学生になってからは別の学校に通っていた。小学時代の同級生から街中ですれ違った時な…

同性愛者が存在する確率<5>

「そうなんだ……常連ばっかりなんだ」 書き込みの件数が少ない掲示板だから驚きはしなかった。同性愛者の出会い系の掲示板なんて、よくよく見ているとわかるけれど、同じ人たちが毎日書き込みしているなんて日常茶飯事だ。 「それにしても神原って、こっちの…

同性愛者が存在する確率<4>

◇ 車の窓ガラスを下ろして、ボクの顔を見ながら運転席の男性が言った。 「見覚えがある……」「ボクも見覚えがある……」「もしかして神原だよね!」「金子君だよね!」 運転席には懐かしい顔があった。確か金子君とは小学生時代に五年生と六年生の二年間ほど同…

同性愛者が存在する確率<3>

絶対に知り合いかと思いますし、お互いに会うと気まずくなると思いますよ。会わない方がいいと思うけど…… ボクはそうメールして打ち切ろうと思っていた。ボクだって相手が誰なのか好奇心はあった。でも恐怖心の方が勝っていた。相手が小学生時代に仲がよかっ…

同性愛者が存在する確率<2>

ボクはパソコンの前で、掲示板に投稿する文章を考えた。 実家に帰省している大学生です。誰かメールでもしませんか? そうキーボードで文字を打ち込んで投稿ボタンを押した。ただ投稿してみたものの、特に誰かと会うことなんて考えていなかった。ボクには移…

同性愛者が存在する確率<1>

ボクは住宅街の裏路地に体を隠していた。その目の前の道路を紺色の軽自動車が勢いよく通り過ぎていった。車を運転している人の顔が見たくて目を凝らしていたのだけれど、あっという間で見えなかった。車が完全に去ったのを見届けて、裏路地から道路沿いの歩…