第4章 同性とのファーストキス

同性とのファーストキス<12>

時の流れは無情なもので、あっという間に夕方になって、ボクらは集合場所になっている京都駅の近くの旅館に集まった。そして夕飯を食べて、いよいよ各グループごとの出し物を催す時間になった。 他のグループは、音楽に合わせて踊ったり、クイズを出したり色…

同性とのファーストキス<11>

次は鴨川だ。ここも修学旅行で見た時は、ただの川ぐらいにしか思えなかった。実は鴨川沿いの、ある公園が野外のハッテン場になっている。ついでに鴨川沿いのベンチもだ。興味が会って深夜遅くに何度か行ってみた。公園内のトイレ前のベンチに全裸の男性が座…

同性とのファーストキス<10>

ボクにとって京都は、色々な意味で同性愛者としてデビューすることになる街だ。 ボクは高校を卒業してから地元を離れて京都の大学に行くことになる。そして京都に住み始めてから、修学旅行で訪れた観光地に懐かしさと苦い思い出を噛みしめながら再び訪れるこ…

同性とのファーストキス<9>

翌日の授業中、ボクはK君の様子を伺っていた。K君に対しては、一度も恋愛感情を抱いたことがないし、カッコいいとか可愛いとか思ったこともなかった。ボクの中でただの同級生というポジションだった。劇中とはいえ、好きでもない人とキスなんてしたくない…

同性とのファーストキス<8>

確かにA君の言う通り、劇のオチとしては同性同士でキスする案は面白いかもしれない。でも同性同士でキスするのなんてみんな嫌だった。それに同性愛者のボクですら嫌だった。実際にはキスする二人のうち、ボクに関しては確定しているので、誰がボクとキスす…

同性とのファーストキス<7>

「じゃあ、これであらすじは決まったね」 ボクらはあらすじが決まって安心していた。そう思った矢先だった。 「オチが納得できないな……」 A君がぼそっと呟いた。 「神原と結ばれるオチってどんな風になるのかな?」 まだA君は納得できていないようだった。…

同性とのファーストキス<6>

劇の内容を無視して、みんなどんな女装をするのか真剣に考えていた。もはや自分たちの女装願望を満たせれば劇の成功も失敗も関係ないようだった。でも主人公役のボクは最初から最後まで登場する可能性があるわけで、失敗したら劇上で居たたまれない状況にな…

同性とのファーストキス<5>

「なんで女装は止めた方がいいの?」 みんなA君の言葉が理解できなくて、不思議がっていた。ボクはA君から「神原が傷ついてるだろ。気持ちを考えて止めてやれよ」とか「神原だって好きで同性愛者になったんじゃないんだ」とか格調が高くて友情溢れる泣ける…

同性とのファーストキス<4>

「じゃあ……主役は神原に決まったけど、それからどうする?」 主役は決まったけど、まだ他には何も決まっていなかった。どうやらボクのホモ役に中心にして話を考えるつもりのようだった。 「そうだ……どうせなら神原に女装させない? それなら面白いよね?」「…

同性とのファーストキス<3>

「何にしようか……クイズでもやる?」 ほとんど反応がない。クラスのイケてないメンバーがクイズを出しても、その場がシラけそうだなと思った。 「それじゃあ……劇にする?」 何人かが頷いた。これで劇をするのは決まった。他のグループは盛り上がっているよう…

同性とのファーストキス<2>

話を修学旅行に戻したい。 「神原ってN君と一緒のグループに入りたいんじゃないの?」「N君と同じ部屋になったら神原は襲うんじゃない?」 目ざとい同級生が、ボクの願望を見抜いて指摘してきた。 「はぁ? そんなこと考えてもないよ」 ボクは慌ててシラを…

同性とのファーストキス<1>

同性とのファーストキスは中学三年生の時だった。 同性に初めて告白したのが高校三年生の時だ。つまり告白する前にファーストキスをしたことになる。そもそも告白する前にファーストキスをしたのは色々と事情があるのだ。 中学三年生になると、どの学校でも…