ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

第46章 二人おのぼり紀行

おのぼり二人紀行<34>

ちょうど彼と一緒に農業を始めて一カ月が経った頃、ある本が発売されて読んだ[*1]。その本の中で次のような文章が書かれていた。 石牟礼道子さんとは晩年にお話する機会がありました。そこで、彼女の代表作である『苦海浄土 わが水俣病』を、どうしたら若い…

おのぼり二人紀行<33>

僕の仕事は、職場の仲間たちの仕事を奪っている。業務の効率化を突き詰めていくと、人の手作業は少なくなってくる。それは直接的にではないにせよ間接的に同僚たちの仕事を奪って殺しにかかっているのと同じことなのかもしれない。 現時点では、派遣社員やパ…

おのぼり二人紀行<32>

僕は自分の職場にシステムの導入を進める仕事をしている。 システムを開発することもあったけれど、最近は自分で一から開発をしている余裕はなく、どちらかというとシステムベンダーが開発している製品を購入して、自分の職場の運用に合わせて導入を進めてい…

おのぼり二人紀行<31>

4月に貸農園で農業を始めて、僕は仕事が終わって夕方から畑に行くようになった。 そしてスマホで写真を撮って彼に送り生育状況を共有していた。さらに夜になると電話で「きゅうりが大量に収穫できたよ」とか「テントウムシダマシが大量に発生していたよ」と…

おのぼり二人紀行<30>

旅行4日目の朝。僕たちは練馬駅からそれほど離れていない場所に来ていた。 僕たちが来ていたのはJAが管理している貸農園の一つだ。 その貸農園の一画で、ある有名な農業家が畑を借りて作業している。 その農業家は農業大学で講師をしていて、農業関連の書籍…

おのぼり二人紀行<29>

「あの子は油断ならないのよ」 彼の素の反応に面食らったのか、声をかけた客はそそくさと店から出て行った。その後、その客が出て行ってからのマスターの言葉が面白かった。どうやら他の客人にも気軽に声をかけているみたいだった。ちなみに後日、彼に声をか…

おのぼり二人紀行<28>

今回の旅行中、他のゲイブロガーに声をかけて会ってみることも考えていた。すぐに2名ほど頭に浮かんだけど、でも彼と二人で遊ぶ方を優先することにした。よくよく考えてみると、僕はゲイブログを書き始めてから3年も経ったのに、たった一人のゲイブロガーと…

おのぼり二人紀行<27>

日本民藝館に関しては「言葉」以外に「手仕事」についても書きたいのだけれど、それは旅行4日目の出来事の中で書くことにする。 僕たちは日本民藝館を出て駒場通りを歩いた。それからしばらく住宅街を歩き続けて、井の頭通りに出てから左折して古賀政男音楽…

おのぼり二人紀行<26>

中島みゆきの『瞬きもせず』の1番の歌詞では「僕は君を誉める」と書かれている。 こういった「僕は君を受け入れる」といった視点の曲は『誕生』などいくつかある。 でも『瞬きもせず』に関しては、さらにもう一歩進んだ視点で書かれている。 2番の歌詞では「…

おのぼり二人紀行<25>

先日、彼から「女性が書いた文章が好きだよね」と言われた。 彼の指摘通り、僕は女性が書いた文章が好きだ。志村ふくみさんにしても石牟礼道子さんにしても、女性が書いた本を読んでいることが多い。過去にも書いたけど、このサイトの文章、特に過去の出来事…

おのぼり二人紀行<24>

去年の秋ごろに彼と電話で話していた時のことだった。 僕は「志村ふくみさんの本を夏ごろからよく読んでいる」と言った。少し間があってから、彼は「その人のことを教科書で読んだかもしれない」と言った。数日後、彼女が書いた本を読んでいると、彼の言った…

おのぼり二人紀行<23>

いくつかの駅で乗り換えをしてから駒場東京大学前駅で降りた。 僕たちは大学生に道を尋ねながら駒場キャンパスのテニスコート近くの門を通り過ぎた。 次の目的地は『日本民藝館』だった。 そもそもの訪れるきっかけとなったのは、当日の朝、彼が蔵前駅で『日…

おのぼり二人紀行<22>

野郎フェスの会場から出ると11時半少し前くらいだった。 予想はしていたけど、やっぱり売られていた同人誌の大半の絵柄は、僕の好みではなかった。 そういえば彼と話していると、僕の好みの男性タイプは「少し風変わりなのかな?」と感じることが多々ある。 …

おのぼり二人紀行<21>

僕の方は八木さんの同人誌を買ったことで野郎フェスに来た目的を果たしてしまった。一方、彼の方はその後も次のブースの前に立ったまま同人誌を買うのを躊躇していた。 でも、僕が「こういうのはノリで買った方がいいですよ」と何度か言って、一冊買ったのが…

おのぼり二人紀行<20>

ついに野郎フェスの入場が始まった。 僕たちは1時間前から並んでいたので、割と早く入場が出来た。これは後から思ったのだけれど「このサークルの同人誌を買いたい」と、はっきりと目的が決まっている人は朝早く並ぶ必要はあると思う。特に人気作家のブース…

おのぼり二人紀行<19>

僕がちゃんと案内冊子の隅から隅まで探していなかったのか、この野郎フェスに対する意欲の低さ加減が分かってしまう。 僕としては、例えば一人でオナニーする場合、わざわざ同人誌を使う必要性を感じていない。ゲイ動画で抜いてしまった方が手っ取り早いと思…

おのぼり二人紀行<18>

僕たちの周囲には何十人ものゲイがいた。 その人たちはイベントスタッフに案内されて列を作って順番に並んで地べたにしゃがんいた。みんな帽子をかぶったり、日傘を差したり、頭にタオルをかぶせたりして、きつい日差しを避けていた。僕たちも彼らと同じよう…

おのぼり二人紀行<17>

ちょっと話が逸れてしまうけど、この機会に少しだけ書いておく。 人間誰しも過去に悲しいことや辛いことや苦しいことを経験する。そして自分以外の相手を自由に制御することなんてできない。自由にできるのは自分自身の限られた範疇でしかない。その限られた…

おのぼり二人紀行<16>

僕たちは街並みを眺めながら40分近くバスに乗って川口駅に辿り着いた。それからバス亭で降りて目の前の階段を上って駅の改札口に向かった。 僕は階段を登り切った所で「ある人」がいないか探していた。 このサイトで何度か名前が出ているけど、工藤慎太郎さ…

おのぼり二人紀行<15>

僕らはイオンモールに入ってからベンチで休憩をした。 僕は座った途端、眠気に襲われてしまい壁に頭をつけたまま20分くらい仮眠した。その間、完全に熟睡してしまった。目が覚めて隣を見ると彼はスマホで何かの文章を集中して読んでいた。一方的に寝てしまっ…

おのぼり二人紀行<14>

西川口駅前の角を曲がって少し進むと、いきなり蕨市の案内看板が目についた。 「もう蕨市に着いたの?」 僕は西川口駅のすぐ隣から蕨市が始まっていることに驚いて後ろを走っている彼に向かって声をかけてしまった。 そもそも当初は蕨市に行く予定はなかった…

おのぼり二人紀行<13>

自転車で西川口まで50分はかかる。 出発地の戸塚安行周辺は農園が多いみたいで畑や園芸店がやけに目についた。ただ坂道を登って西川口方面に近づくにつれて徐々に住宅が多くなってきた。下り坂を降りる頃には住宅街になってしまった。5月末の土曜日で運動会…

おのぼり二人紀行<12>

洗濯するのがめんどくさい。でも洗濯をしないと落ち着かない…… 僕は洗濯物を溜めるのが大嫌いだ。ちゃんと毎日洗濯をしないと気が済まない性格をしている。ただ宿泊先に置いてある使い方が分からない洗濯機を使わなくてはいけないという憂鬱さがあって、洗濯…

おのぼり二人紀行<11>

最初の頃、彼も「ネパール料理店に行きたい」と言ったことがなかった。 僕自身は以前から滅多に外食をしないので、あまり店を知らない。彼とスマホで調べながら日本人がよく行くなるべくオシャレな感じの店を見つけて行っていた。彼はそんな僕に合わせて会話…

おのぼり二人紀行<10>

僕らは彼の思い出の地を散策した後に『高田馬場』にたどり着いた。 それから「宿に戻る前に晩ご飯を食べよう」と言い、高田馬場にある『チャオハノイ』というベトナム料理の店に入った。店員は全員ベトナム人だったけど、お客には若い日本人を何人か見かけた…

おのぼり二人紀行<9>

自転車を駐輪場に停めてから公園内に入ると1年前と同じような光景があった。 ベンチに並んで座って話しながらこっちの方をチラチラ見ている人たちや、ベンチに一人腰掛けてスマホを片手にチラチラと見ている人たちがいた。彼はそんな視線に気が付くこともな…

おのぼり二人紀行<8>

僕らは喫茶店の近くの駐輪場で自転車を借りて明治通りを北に向かった。 その途中で国立競技場の案内看板が目に入ったので「ついでの建築中の競技場を見てみよう」ということになり千駄ヶ谷小学校の交差点で右折した。まっすぐに道を走るとテレビ画面で見慣れ…

おのぼり二人紀行<7>

『アメ横地下食品街』 ネットで検索してもらえばどんな場所か分かると思うけど地下街で売っている物は、ほぼ海外の商品だ。 アジア圏のいろいろな国の商品であふれている。日本人の一般家庭では滅多に使用されないだろう食材や調味料であふれている。もちろ…

おのぼり二人紀行<6>

僕らは次の目的地を御徒町に定めて、都営大江戸線の蔵前駅から地下鉄の入り口にたどり着いた。 僕が「それじゃあ地下鉄に乗りましょう」と促すと彼は複雑そうな表情をして立ち止まった。僕が「どうしたのだろう?」と思っていると、彼は「都営大江戸線は苦手…

おのぼり二人紀行<5>

僕が読んでいる本は『沢木興道聞き書き』(著者:酒井得元)だ。 本を読むのに集中して「飛行機事故」ついて考えないようにしている矢先。 大体、人間はいつ死ぬるかもわからないものではあるが、いざ死ぬというときには、あっさりといってしまうもので、いわ…