はじめて会った同性愛仲間<1>

 高校2年生になりクラス替えが行われ、高校に入学してから好きになったヨウスケ君と同じクラスになった。既に中学時代からカミングアウトしていたので、同じ学年の生徒でボクが同性愛者だということを知らない人はいなかった。

「神原って誰(男)が好きなの?」
「ヨウスケ君が好きだよ」

 中学生時代の癖は治っておらず、カミングアウトしている上に、好きな男子生徒の名前も公にしていた。かなりのアホである。ヨウスケ君は、ボクが好意を持っていることを周囲から聞いていて、ボクとはかなり距離を取っていた。「話しかけることさえ許さない!」という雰囲気を醸し出していた。自業自得である。
「ヨウスケ君は同性愛者ではないから無理もないよね」

ただでさえ同性愛者なんて少ないし、ボクが好きになった人が同性愛者だなんて確率はもっと少ない。自分以外に同性愛者に会ったことないし、もし同性愛者がいても隠しているだろう。ヨウスケ君に恋愛関係なんて求めていなかった。休み時間中、バレないようにそっとヨウスケ君を眺めて過ごしていた。

「ヨウスケ君カッコいいな〜♪」

 そんなある日、ヨウスケ君を観察していると、逆にボクに視線を送ってくる生徒がいることに気づいた。

「おかしいな?妙な視線を感じる」

 ボクがヨウスケ君に「妙な視線」を送っているくせに可笑しな話である。最初はボクがヨウスケ君を観察している事に気づいてボクを監視しているのかな?と思った。「妙な視線」を送って来た生徒の名前はヒロト君。ボクが好きなヨウスケ君の親友だった。

<つづく>