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ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

同性愛者の友達が欲しい<9>

 ボクはイサムさんに抱きつかれて痛かった。イサムさんはボクより背が高くて体格もよかったからだ。

「タカオミ君の体は暖かいな〜」

 イサムさんは気持ち良さそうだった。ボクは特に気持ちが良い訳ではなかったけど、イサムさんが気持ち良いならそれでいいと思った。20秒くらい抱きついていただろうか・・・体を離してイサムさんは言った。

「タカオミ君は優しいな。これからも暇な時にメールを送ってもいい?」

 メールぐらいなら構わなかったのでボクはすぐに答えた。

「いいですよ」

 ボクの言葉を聞いたイサムさん嬉しそうな顔をして言った。

「じゃあね!」

 ボクも答えた。

「それじゃあ・・・そちらも元気で頑張ってください」

 イサムさんは振り返って駅の階段を登っていった。イサムさんの姿が見えなくなった後、ボクは公園に停めている原付を回収するため、イサムさんと歩いた道を戻っていた。掲示板に書き込んで2時間くらい経ったろうか、あっという間に時間が過ぎた。ボクの人生の中でかなり密度の濃い2時間になっていた。ボクは歩きながらイサムさんの言葉を思い出していた。

友達か・・・難しいね。この世界ってセッ○スありきじゃないかな?
同性愛者同士の付き合いなんて、恋人でも友達でもそんなことばっかり

 イサムさんの言葉だけでは判断はできないけど、ハッテン場にいた人たちのことを思い出して、なんとなくイサムさんの言う通りのような気がしていた。大学時代のボクはイサムさんに会った後も、ずっと同性愛者の友達や話し相手を探し続けていた。出会い系の掲示板に書き込んでみたり、チャットなどをして多くの人と出会った。でも最後まで友達という関係は作れず、少しは肉体的な関係があって恋人と友達の中間みたいな状態だった。付き合っている時から、この人とはいつまでこの関係でいられるんだろうと思いながら付き合っていた。いつからなのか、ある人と寝ていても、「この人も隠れてハッテン場に行ってるんだろうな」と思うようになっていた。一緒に寝ている相手も同じことを考えていて、お互い暗黙の了解のようになっていた。それが何故だか理由はわからない。社会的に同性愛者との結婚が認めらていないからかもしれない。いつも関係が瞬間の連続で、ずっと先まで続いていく関係が見えなかった。

 今でも同性愛者の友達が欲しいと思う時はあるけど、昔ほど願望は強くはなくなっている。ボクは中学時代や高校時代にカミングアウトをしていて、受け入れてくれた友達がいた。そして社会人になっても同性愛者であることを受け入れてくれる人に出会った。そんな人たちの出会ったおかげで、無理に同性愛者の友達を作らなくてもいいと思えるようなった。

 多くの同性愛者と出会う中、顔や会ったこともすら忘れてしまった人もいる。男のような女のような不思議な人だったけど、今でもイサムさんのことは鮮明に覚えている。ボクの大事な思い出だ。

<おわり>