同性愛者としての初体験<4>

話したいことがあるから今夜飲まない?

 ボクは喜んでメールの返信をした。

いいですよ。こっちも話したいことが沢山あります。

 ボクには本当にヒロト君と話したいことが沢山あった。すぐにヒロト君からも返信がきた。

じゃどこで飲もうか?

 知り合いのいない場所でゆっくり飲みたいと思ったので、ボクは大学から離れた場所を指定することにした。

四条河原町の辺りはどう?19時に阪急の前で待ち合わせしない?
了解しました。じゃ19時に阪急に着いたらメールをするね。

 ボクはさっき出会ったヒロト君の姿を思い浮かべた。一年ぶりに会ったけど、あまり姿は変わっていなかった。「ヒロト君が話したいことって何だろう?」と思いながら、ボクは残りの授業中、今夜会ってから何を話そうかとずっと考えていた。その日の大学の授業が終わるとボクは家に帰って身支度をしてから四条河原町行きのバスに乗った。四条河原町に着ついても、約束の時間まで、かなり余裕があったので近くの喫茶店で時間を潰していた。するとヒロト君からメールが来た。

こっちは着きました。阪急の前にいます。

 ボクは急いで喫茶店を出て阪急に向かった。そして阪急の前で待っていたヒロト君を見つけて声をかけた。

「こんばんわ。早いね」

「おっす!そっちも来てたんだ」

 どこで飲もうかとの話になったが、ボクは以前サークルの飲み会で行ったことがある店に行かないかと誘いヒロト君と阪急近くの店に入ることにした。店に入ったボクらは早く話をしたかったので、すぐに店員を呼んでビールと食べ物を注文した。そしてビールで乾杯してからようやく話をしはじめた。ヒロト君と二人きりで話すのは高校3年の予備校の夏期講習以来だった。

<つづく>