同性愛者と断捨離の相性について

 ボクは基本的に物を持たない。

 少し前に引っ越したけど、一時間もあれば引っ越しの準備が全て終わってしまった。シェアハウスまではいかなくて賃貸アパートだ。交通の便がいい場所に住んでいるので、車は持っていない。どうしても車が必要な時は、レンタカーで済ませている。ボクが死んでも恐らく役所に死亡届を出して、賃貸アパートと銀行口座とクレジットカードと携帯電話の解約くらいで全ての後始末が終わりそうだ。

 ボクの職場の机の上も引き出しの中も最低限の物しかないので、同僚からは変人扱いされている。

「神原さんってミニマリストですか?」
「いや〜捨てすぎて嫁も子供もできる前から断捨離しちゃったよ」

 そう言っては同僚からは呆れられている。

 最近では本屋に断捨離専用のコーナーまで存在している。でもボクは断捨離という言葉が出て来る前からこんな状態だった。もともと実家の両親もあまり物を持っておらず、そんな環境で育てられた影響もあるけど、ボクがこんな状態になってしまったのは大学二年生からだった。詳しくは過去の記事に書いてるけど、同性愛者として生きていくと決めた時期からだった。

 

 日本で同性愛者として生きていても、結婚もできないだろうし、子供を作ることもない。普通の人生を諦めた時からだった。同僚に言ってる「嫁も子供もできる前から断捨離しちゃったよ」という言葉もあながち嘘ではないと思う。いつか年をとって物を残して死んでいっても邪魔なだけだし、それなら不必要な物はなるべく持たないようにしようと考えるようになった。物を買うときも使いやすいかを考慮しているが、捨てやすいかも考慮して買っている。ボクみたいな考え方をしている同性愛者は結構いるのではないかと思うのだが未だに出会ったことがなく、同性愛者仲間からも変人扱いされるようになってしまった。同性愛者にとって断捨離やミニマリストといった考えは相性がよいとは思っているのだが……

 こんな人生だけど、特に悲観しているわけではなく、それはそれで楽しんで生きている。