ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

はじめての有料ハッテン場<8>

 ボクは来た道を戻り始めた。途中で真っ直ぐに長く伸びている通路があった。さっきより人が増えて、その通路の壁に三人の男性が寄りかかって立っていた。部屋の中はほぼ真っ暗なので、顔の識別もできなかったけど、三人ともボクよりは年上に見えた。ちょうどその時、入り口の方から、若い人が入って来た。壁に寄りかかって立っていた人達の視線が、その若い人に一斉に向いた。その若い人は一つ一つ個室を覗きながら、誰か寝ていないかを確認しているようだった。そして壁に寄りかかって立っている人の側を通り過ぎようとした時、壁に寄りかかって立っている人の手が伸びて、若い人の股間に触れた。

 ボクはドキドキしながら二人のやりとりを見ていた。その場にいた他の人たちの視線も二人に注がれていた。

 若い人の動きが止まり、股間を触って来た人の顔を確認するように見た。股間を触った人は相手に拒絶されないことを確認すると、徐々に股間に触れた手を早く動かした。そのまま二人は体が近づけて抱き締め合った。そしてお互いの体に手を回して触り合いをして、体を離してはキスをしていた。

 ボクは息をするのも忘れて二人のやりとりを見続けた。

 五分くらい経っただろうか……そのまま二人は体を抱き締めあったまま、近くの個室の中に入って鍵を閉めてしまった。

「なるほど……こうやって相手を誘うのか」

 ボクは二人のやりとりを見ながら、一人で納得して頷いていた。相手を誘うときは、そっと相手の体に触れればよくて、触れられた方は相手が好みのタイプでなければ、無視して素通りすればいいし、好みのタイプであれば相手が触って来るのを受け入れればいいのだ。

「そういえば……ボクもさっき他の人と体が当たったのが、この長い通路で個室を確認している時だったけ?」

 暗闇の中で相手にぶつかってしまったと思って謝ったけど、よくよく考えるとぶつかったというよりは、体を軽く触れたようだった。

「しかし、見知らぬ人の体をいきなり触るのは、勇気がいる上に、難易度が高いな」

 ボクは自分という人間に全く自信がなかったので、大学時代の間、ずっと自分から相手の体を触ったりできなかった。あくまで相手から誘われるのを待っている側だった。どんなに好みの相手がいても、自分から体を触れる勇気は持てなかった。相手が自分に興味を持って体を触ってくれなければ諦めていた。

<つづく>