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ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

同性への憧れと恋愛の境界線<5>

 彼のことを好きになってから、授業中にノートを開いては彼の名前(以下、仮名だけど『横溝』と記載する)を見てドキドキしていた。そして通学途中、彼と偶然に出会わないかいつも期待していた。

 初めて年上の男性を好きになった。こういうのを憧れの先輩と言うのだろうか。

 中学時代に好きになったN君のことを思い出していた。ボクは初対面なのに、いきなり声をかける来る人に憧れてしまうらしい。N君に憧れて、それから好きになって、中学時代に比べて人と接することが苦手ではなくなっていたけど、それでも心のどこかでコンプレックスを抱いていた。

 ボクの同性を好きになる過程は、大体パターンが決まっていた。

 自分に足りないものを持っている人に対する憧れから始まって、相手に好奇心を抱いて観察していくうちに、気づいたら恋愛に変わってしまっていた。もちろん中には憧れを抱いただけで、恋愛にまで進まないで終わった人も沢山いた。ボクの恋愛対象が同性ではなく異性だったら、そもそも好きになる相手に対して、ここまで強く憧れといった感情を持たなかったではないかと思う。

 あばたえくぼなのか、ボクには彼が手の骨をボキボキと鳴らす姿さえ、かっよく見えるようになったきた。医者になりたいという夢に真っ直ぐ進んで行く彼の姿もかっこよかった(なぜ医学部を目指すようになったのか理由も知っているけど、ここには詳しく書けない)。

 塾に通い始めて数ヶ月が経ったある日のことだった。

「塾の調子はどうなの?」

 塾から家に帰ると母親が質問をしてきた。調子も何も全く勉強をしていないのだが、適当に話を合わせることにした。

「うん……特には問題はないよ」

 心配なのか母親は根掘り葉掘り状況を訊いてきたけど、適当にかわしていた。ボクはめんどくさくなったので、話をそらそうと別の話題を振った。

「そういえば……塾に医学部を目指している人がいるよ。少し変わった人だけど」

「ふ〜ん」

 母親は興味がなさそうだったけど、ボクは話を続けた。

「横溝っていう人なんだけど……」

 急に関心を持ったように母親がボクの顔を見て質問をしてきた。

「もしかして横溝さんの子供じゃない? メガネかけて大人しそうな感じの子でしょ?」

 母親の言っている人は彼に間違いないと思った。ボクは驚きを表情に出さないようにして訊いた。

「そうだけど……知ってるの?」

「あなたが小学生に入学した頃から、横溝さんのお母さんとは会えば話をする仲だけど、息子さんもよく見かけるから知ってるわよ」

 ボクらの両親は知り合いのようだった。
 
<つづく>