ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

カミングアウトの代償<6>

 ボクは女性には関心が無かったので気にならなかったが、他の同級生達は、彼女らの存在が気になってしょうがないようだ。女子生徒側は、明らかにこちらのメンバーの誰かに用事があるようだった。

「他の科の生徒だよね?」

 同級生の一人が呟いた。他のメンバーも「俺らの科の女子じゃないよね」と頷き合っていた。ボクの通っていた高校は、他にも科があって、そちらの科には女子生徒が沢山いた。ボクは自分の所属している科の女子生徒ですら顔をまともに覚えていなかった。

 彼女らは自転車置き場から十メートルくらい離れた場所にある校舎の入り口で、こちらの方を見ながら相変わらず三人で騒いでいた。一人の女子生徒の背中を二人の女子生徒が押していたが、背中を押された女子生徒が抵抗して後戻りしようとしていた。彼女らは三分くらい内輪揉めをして、ようやく背中を押された女子生徒がボクらの方に近づいてきた。

 ボクら男子生徒側は五人いた。そして近づいてくる女子生徒を黙って見守っていた。

 何だろう……誰かに告白かな。

 高校生にもなると、学校内や通学で使われている駅で同級生同士の告白シーンを何回か見ていたので、だいたい予想がついていた。近づきながら彼女は胸ポットに手を入れ、手紙のようなものを取り出した。

 おお! ラブレターか!

 ボクは学校内ではホモ扱いされているので、自分には全く関係がないと思っていた。だから取り出した手紙を見ても、積極的な女の子だなと悠長に関心していた。ボクを除いた男子生徒は緊張しているようで、冗談を飛ばす余裕もないようだった。背後から二人の女子生徒の声援を受けて彼女はボクらのすぐ近くまで来た。

「受け取って下さい」

 そう小さな声で呟いて手紙を差し出して来た。

「はぁ?」

 そんな感じで、男子生徒側は手紙を差し出された方向を見て固まった。何より一番固まっていたのはボク自身だった。彼女の手紙はボクに差し出されていたのだ。

「えっ……ボク?」

 ボクは自分を指差しながら差し出す相手を間違っていないか確認をすると彼女は恥ずかしくてたまらないといった感じで頷いていた。ボクは恐る恐る手紙を受け取った。その間、残りの男子生徒は黙ってやり取りを見ていた。彼女は手紙を渡すと何も言わずに走って校舎の中に消えて行った。残り二人の女子生徒も騒ぎながら後を追って消えていってしまった。

 まさか……ゲイにラブレターを渡してくる女子生徒がいるなんて夢にも思わなかった。

<つづく>