ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

カミングアウトの代償<13>

 散歩に行く? 母親からの急な申し出にボクは意表を突かれた。

「えっ? 何で会社を休むの?」

「まぁ……いいじゃない。今から散歩に行こうよ」

 そう笑って答えると、会社に電話をかけて仕事を休むを連絡した。そして直ぐに身支度を整えて、ボクを散歩に連れ出した。

 あまりの手際の良さに、急に思いついたのではなく、最初から一緒に散歩に行くと決めていたようだと感じた。

 平日の朝。普通なら学校に行っているはずの子供が、母親と二人で散歩していると、近所の人や、車ですれ違う人たちの視線が気になって恥ずかしかった。でも田舎の町なので、少し歩いて山の中に入っていくと、すれ違う車も人も無くなってしまった。人がいなると、ようやくボクは冷静になった。

 母親は何の意図があって会社を休んでボクを散歩に連れ出したんだろう? 

 母親の顔をチラチラと見ながら、あれこれ推測していた。

 実は……ボクは同性愛者で、同級生の前でホモキャラクターを演じてきたけど、自分自身に嫌気がさして、人間関係に疲れて学校に行きたくないんだ。

 そんな悩みを母親には絶対に打ち明けることができなかった。

 ゲイであることを母親に隠していたけど、でも疑われる要素はいくらでもあったはずだ。そもそもボクの部屋には普通の健全な男子高校生なら持っていて当然と思われる、エロ本やアダルトビデオも全くなかった。子供が隠していても母親なら当然に隠し場所くらい把握していると思う(実際に兄は引き出しの奥に隠していたけど、母親にバレていた)。かといって、インターネットもない時代だ。田舎の町ではゲイ関連の本やビデオも手に入りようがなかったけど。

「なんでこの子はそういった物を持ってないんだろう?」

 そう疑問に思ったこともあると思う。

 よく晴れた朝だった。

 河原を歩いたり、山の中を歩いたりして、自然の景色を見た感想を二人で述べあっていた。母親はボクが頻繁に学校を休んでいる理由など一言も触れてこない。ボクは母親の意図が気になってしょうがなかった。

<つづく>