ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

住吉奇譚集<11>

 ボクは休憩室をのぞいた後、ロッカールームに戻っていた。先ほど見た光景に、ただ驚いていた。四人ほどいたけど、全員が五十歳後半か、軽く六十歳中盤を超えてている人ばかりだった。もしかすると……七十歳を超えている人もいたかもしれない。

 どうしよう……来たばかりだけど、もう帰ろうかな。明らかに間違った店を選んでしまったかも。何で沢山ある店から、この店を選んでしまったんだろう。

 ボクは同年代か少し年上の人が好きだったけど、この店の客層は、少し年上どころではなかった。恐らく自分の父親より年上の人ばかりだった。流石にボクの許容できる年上の範疇を超えていた。

 ロッカーを開けて固まっていると、六十歳は軽く超えているだろうと思われる人が階段を降りてきた。そしてボクの隣のロッカーを開けて、カバンの中から水を取り出してボクの方をチラチラと見ながら飲んでいた。いつになっても固まって動かないボクを不審がっているようだった。

 とりあえず……シャワーでも浴びて上の階の様子を見てから考えようかな。寝るところがあれば、仮眠して始発に乗ってから帰ればいいよね。それに上の階には、同年代の人が結構いるかもしれない。

 休憩室のメンバーを見ただけで、ボクの予測は、ほとんど期待ができなかったけれど、前向きに考えることにして、タオルとバスローブを持って浴室に行った。一軒家の浴室をシャワーだけ使えるようにしていて、本当に三階建の一軒家をそのまま有料ハッテン場にしたような感じだった。ボクは軽くシャワーを浴びて体を拭いてからバスローブを来てロッカールームに戻って来た。そして真っ暗になっている階段を登っていった。

 二階に上がると真っ暗だった。やっぱり店の照明は、客の年齢に影響すると思う。さっき行った店は若い人が多いから明るかったけど、次の店は顔の判別もできないくらいに真っ暗だ。ただ大人向けなのか店内にうるさい音楽は流れてはいなかった。所々で、アロマか何かを焚いているのか、店内はどの階もいい匂いがした。

 ボクは暗闇の中に映る微かなシルエットや歩き方だけで、相手の年齢を類推していた。すれ違う人は、みんなボクよりも遥かに年上ばかりだった。

<つづく>