ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

住吉奇譚集<13>

 ボクはしゃがんで壁にもたれかかったまま、年配の男性たちの過激なセックスを見ていた。

 この人たちに子供はいるのだろうか?いや……年齢的には孫がいてもおかしくないはずだ。

 そう考えていた。彼らの青春時代は今から四十年から五十年くらい前になるだろう。今でこそ独身でいても、少し変わった人なんだろうなという目で見られるぐらいで済む時代だけど、当時は独身のままでいると、世間から本人だけでなく家族も含めて、白い目で見られる時代だったに違いない。親や親戚からも積極的というか強制的にお見合いを勧められたに違いない。

 今まで五十代を過ぎると、銭湯やサウナなどに行くか、公園などの野外のハッテン場に行くかしかないと思っていた。東京はともかく福岡にもこんな年配の客が集まる店があるなんて思いもしなかった。
 
 ボクはさっき行った店に、この人たちが顔を出すと、きっと辛い目に会うだろうなと考えていた。

土曜と日曜は、二十代から三十代までしか入れない日にして欲しい。店員さんお願いします。
マジで気持ち悪かった。年齢制限の意味がない。ニヤついて見てくるからキモくて帰った。
嘘の書き込みをしたところで、五十代のおっさんの相手なんかしないのにね。

 これは実際に有料ハッテン場の呼び込みの掲示板に投稿された、年寄りへのバッシングの書き込みだ。

 ボクはもともと同年代か、少し年上の人が好きだったから、そんな書き込みをしたことはない。そもそも地方の有料ハッテン場なんて、客が多い訳でもないし、そこまで儲かっている訳ではないと思う。年配の客も重要な収入源だろうし客が少なくなってしまうと店自体が潰れる可能性も高いはずだ。そして一番の理由は、自分もいつか歳を取るからだ。自分の将来を考えてみたら、とてもバッシングする気分になれなかった。

 以前、四十代の男性と話していると、店に入ったら呼び込みの掲示板は絶対に見ないと言っていた。自分のことをバッシングする内容が書かれている可能性があるし傷つきたくないからだそうだ。もともと同性愛者自体の数が少ないし、マイノリティの中で叩き合いをしても不毛だと思う。

 実際に、目の前で繰り広げられている光景を見ていると、年配の人には強引で過激なセックスを求めてくる人も多いとは思う。でも相手を受け入れられなければ、きっぱり断ればいいと思う。

 この店にせっかく来たけど、次々としゃがんでいるボクの顔を見ては、体を触ろうとするので、ボクは断わり続けて眠たい目をこすりながら起きていた。

<つづく>