ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

住吉奇譚集<15>

「そろそろイキますか?」

 ボクは気軽な感じで訊いた。ずっと抱き合ったまま雑談していたので、なんだか彼とは昔からの知り合いのような気分になっていた。

「うん。イきたいけど、このままずっと朝まで抱き合っていたい気もする」

 彼の言葉を聞いて、ボクは「可愛いな」と思って笑った。

「君もイきたいよね?」

「いえ……ボクはいいです」

 普段から規則正しい生活を送っているせいか、深夜まで起きているのはキツくて、ボクにはもう体力が無くなっていた。

「じゃ……イかしてもらおうかな?」

 それから二十分近く彼の身体を責めて、ようやくイかすことができた。そしてテッシュでの汚れた彼の身体を拭いてあげた。

「ありがとう……そういえば君ってゲイ向けの出会い系のアプリとかしてないの?」

「昔やったことはありますけど、今はやってないですね。何だか時間が勿体無いような気がしたんですよ」

「そうか……」

「携帯のメールアドレスとか教えてもらえる? 会えなくても雑談したいんだけど?」

 ボクは微妙な態度を取ったので、彼はそれ以上は訊いてこなかった。もう今までの経験から、メル友といった関係が長続きしないのを知っていた。恐らく彼も同じような経験は何度もしているはずだと思った。

「今、何時くらいだろう?」

 彼が時間を調べようと、時計を探していたので、ボクはベットの枕元に置いていたスマホの画面を確認して答えた。

「もう三時になりますね」

「そろそろ帰ろうかな……」

 彼の家は、この店から歩いて帰れる距離にあると聞いていた。

「本当にメールアドレスとか教えてくれない?」

 ボクは再び困った感じの態度を取った。

「先にシャワー浴びていいですよ。ボクは三十分くらいしてから、下に降りて浴びますから」

 ボクは返答する代わりに、シャワーを浴びに行くよう促した。ボクの言葉を聞いて諦めがついたようだった。

「今日はありがとうね。いつかまた会おうね」

「そうですね。また機会があったら会いましょうね」

 最後に彼と固く抱き合って、彼はベッドから起き上がって、部屋から出て行った。

 いつかまた会おうね。

 もう何人と同じ言葉を交わして来ただろう。でもほとんどの人と二回目の関係を持つことはなかった。暗闇の中で会って、暗闇の中で別れる関係だ。相手の顔もはっきりとは分からないことが多かった。ボクは割と関係を持った人の顔や、話した内容を覚えているけど、全く相手のことを覚えない人も多い。

「どうも……前にもヤりましたよね?」

「そうだっけ? 覚えてないけど」

 ボクからそう指摘しても、相手は関係を持ったことすら覚えていないのだ。メールアドレスを交換しようが、どうせ長続きしない関係だ。それは何度も経験して身に染みてわかっている。

 ボクはベッドの上で起き上がって、彼がシャワーを浴びるのが終わるのをただ待っていた

<つづく>