同性とのファーストキス<2>

 話を修学旅行に戻したい。

「神原ってN君と一緒のグループに入りたいんじゃないの?」
「N君と同じ部屋になったら神原は襲うんじゃない?」

 目ざとい同級生が、ボクの願望を見抜いて指摘してきた。

「はぁ? そんなこと考えてもないよ」

 ボクは慌ててシラを切った。内心では妄想しすぎて眠れぬ夜を過ごしているくせに、よく言ったものだ。それにしても目立たなくて根暗そうなボクが夜な夜な眠れずにおバカな妄想をしているなんて誰も思うまい。

 自由行動のグループを分ける運命の日。

 ボクの期待は外れてN君は別のグループに入っていた。そう中学時代のボクは根暗で目立たない性格だった。さらにホモの変人扱いされていた。そんな性格の人間と同じグループになるメンバーは、ボクと同じように根暗で目立たない変人の生徒ばかりだった。つまりクラス内のイケてないメンバーばかりだった。ボクの目の端の方で、同じグループになったクラス内のイケてるメンバーと雑談しているN君が楽しそうな姿が映った。なんだか修学旅行に対する期待が薄れてきた。グループ分けが終わった後に、担任先生が言った。

「じゃあ各班ごとに京都市内のどこを回るかか計画表を出してください。それから旅館に泊まってご飯を食べた後に、各班ごとに五分ぐらいで何か出し物をしてもらいますので、グループごとに何を出すのか考えてください」

「えぇ……」と周囲がざわざわ騒いでいた。ボクは同じグループになったメンバーを見ると、みんな憂鬱そうにどんよりとしていた。クラス内のイケていないメンバーばかりのグループだから誰も話そうとしない。他のグループを見ると嫌がりつつも色々と出し物の案が出ているようだった。

「じゃ……何を出すか考えようか……」

 待っていても誰も話出さないので、ボクは嫌々ながら言った。

<つづく>