「何にしようか……クイズでもやる?」
ほとんど反応がない。クラスのイケてないメンバーがクイズを出しても、その場がシラけそうだなと思った。
「それじゃあ……劇にする?」
何人かが頷いた。これで劇をするのは決まった。他のグループは盛り上がっているようで、音楽を流して踊ろうなどという意見が出ているようだった。それに比べてボクのグループは静まり返って葬式状態だった。次は劇の内容や配役を決めなくてはならない。みんなで話し合ってるとメンバーの一人が言った。
「主役は神原でいいんじゃない?」
ボクはその言葉を聞いて驚いた。このメンバーで劇をやっても失敗するだろうし主役なんて冗談じゃない。
「えっ……絶対に嫌だよ!」
ボクの否定とは反対に他のメンバーも「主役は神原でよくないか?」と言い出した。メンバーは七人いたけど、賛成は六人で反対は一人で圧倒的に不利な状況だった。
「イヤイヤ! 絶対にやらないよ」
いつのまにか、その場の雰囲気はボクが主役で決まりになっていた。なんとか流れを止めなくてはならない。
「無理やり主役をやらせるんなら修学旅行は休むよ!」
ボクは話を進めようとするメンバーを脅した。
「主役は神原で確定ね」
ボクの脅しは見事にスルーされた。誰も主役なんてやりたくなかったからボクに押し付ける気で満々だった。
「そういえば主役が神原ってことは、ホモの役をやらせればいいと思わない?」
メンバーの一人が言った。急にイケてないはずのメンバーがノリノリになってきた。「おぉ! それはいい」とか言って、はしゃぎ始めた。なんで本当にホモなのに、劇の中でホモの役をやることになるんだよ……ボクはどうしたらいいのか途方に暮れていた。
<つづく>