ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

同性とのファーストキス<6>

 劇の内容を無視して、みんなどんな女装をするのか真剣に考えていた。もはや自分たちの女装願望を満たせれば劇の成功も失敗も関係ないようだった。でも主人公役のボクは最初から最後まで登場する可能性があるわけで、失敗したら劇上で居たたまれない状況になってしまう。ちゃんと内容を考えてセリフも覚えておかなくてはいけない。

「それでセリフとかどうするの?」
 女装トークが落ち着くのを待って、ボクは会議を進めるように促した。

「とりあえず……俺らが神原を口説くって設定でいいよ」
「ボクを口説いてくるの?」

 観衆の中で女装メンバーに口説かれるのかと思うと頭が痛かった。

「俺らが求婚するから、神原はホモぽい仕草をしながら曖昧に求婚を断ってくれればいいよ」
「そうそう。いつもの通りに神原らしくホモぽい仕草してればいいから」
「神原はセリフもアドリブでいつもの通りにホモぽくしてればいいって」

 つまり素のボクでいればいいってことかな。A君の「神原は男のままが気持ち悪い」発言に続いて、さらに酷いことを言われている気がした。でも全く意味のない自信だけど、ホモぽい仕草には自信があった。普段あから同級生の前でしている演技をすればいいだけのことだったので安心した。

「じゃあ……セリフはアドリブでなんとかするけどオチはどうしようか?」

 断り続けた結果、最後に劇の結末がどうなるのか気になった。

「そうだな……俺らが一人一人神原を口説いて、振られていくけど、やっぱりハッピーエンドにして、最後の奴が神原と結ばれるって展開はどうかな?」
「おぉ! それならオチがつくね」

 どうやら話の大筋は決まったようだ。ボクは男のままで登場して、女装したメンバーに求婚されて断り続けた結果、最後に結ばれるというあらすじになった。

<つづく>