「じゃあ、これであらすじは決まったね」
ボクらはあらすじが決まって安心していた。そう思った矢先だった。
「オチが納得できないな……」
A君がぼそっと呟いた。
「神原と結ばれるオチってどんな風になるのかな?」
まだA君は納得できていないようだった。
「きっと……ボクと最後に出てくるメンバーが抱き合うんじゃない?」
「そういえば出てくる順番を考えてなかったけど、一番女装してして気持ち悪い奴が最後でいいよな?」
「はぁ……お前ら本当に分かってないよな」
A君はヤレヤレという感じで呆れた感じの態度を取った。
「一番最後の奴は女装したら駄目だよ。さっきも言ったけど普通の男の姿のままで出てくるべきだよ」
「あっ……そうか男同士で抱き合ってる方が気持ち悪いのか」
「確かにストーリー的にも女装した奴が次々に出てくるけど、最終的に神原が選ぶのが普通の男って方が意外性があるかも」
A君の異常な洞察力に、ボクらはただ感心していた。こいつは将来何の仕事に就くんだろうかと気になった。
「それに抱き合うだけじゃ物足りないな。ここは男同士でキスするのはどうかな?」
A君から驚くべき提案がなされた。
「男同士でキス?」
グループのメンバーが一同で「えぇ!」とか「嫌だ!」とか、悲鳴を上げて驚いていた。
「そりゃ……神原は男が好きだから問題ないだろうけど」
ちょっと待て。勝手に決めないでほしい。ボクはまだ中学三年生だ。男同士でキスなんてしたことがない。女性を好きになる異性愛者なら可能性があるかもしれないけど、同性愛者で中学三年生でキスしている人はかなり稀だと思う。それに同性愛者とはいっても、好きでもない同性とキスするのは嫌だ。
<つづく>