ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。現在は隠れゲイ@福岡。過去の思い出や現在のことを綴っていきます。

いつも見ている風景<1>

 ボクは寝転がったまま天井を見ていた。天井には微かに廊下から漏れてくる明かりが映っていたけど、ほとんど真っ暗だった。時刻は二十一時。別に眠たくて寝っ転がているのではない。ボクの頭の上の方には壁があって、足元と左右の方にはレースのカーテンで仕切りがされている。敷布団と毛布が一枚あるだけだ。ボクは裸のまま横になって毛布をかけて寝転がっていた。

 早く誰か相手が来てくれないかな。

 店内にはダンスミュージック系の音楽が鳴り響いている。天井の何箇所かにスピーカー設置されているのか酷くうるさく感じた。もともと眠気もない上に、こんな騒音の中で眠れるわけがない。寝っ転がったまま天井を見つめて耳を澄ましていると、遠くの方でライターの火をつける音がした。きっと喫煙ルームで誰かがタバコを吸っているのだろう。タバコを吸ってむせたのか、咳払いも聞こえた。

 入り口の方でベルの鳴る音が聞こえる。すると廊下を歩く何人かの足音がドスドスと聞こえてくる。薄暗い天井に何人かの人影が映る。足音は入り口の方にあるロッカールームに向かっている。しばらくするとロッカーの開く音がした。新しい客が来たのだろう。ガタゴトとロッカーに物を入れる音が聞こえる。さっきロッカールームに向かった何人かの足音が、今度はトボトボと静かな足音を立てて戻ってくることがわかった。

 きっと好みのタイプじゃなかったんだろうな。

 ロッカーの閉める音が聞こえると、今度は水が流れる音が聞こえる。きっと新しい客がシャワーを浴びているのだろう。カーテンをめくる音がして、足音がボクの寝ている部屋に近づいてきた。ロッカールームから引き上げてくるメンバーの一人が近づいてくるのがわかった。ボクは寝ているふりをして目をつぶって毛布を上まであげた。足音はボクの部屋の前で止まった。足元のレースのカーテンをめくる音が聞こえた。ボクはドキドキしながら相手の反応を待った。数秒ほどしてから、レースのカーテンが閉じる音が聞こえた。

 この暗さなら、ボクの顔も見えないだろうに、きっと好みの体型じゃなかったんだろうな……

 ボクは少し傷つきながら、さっきのカーテンをめくった人が、どんな人だったのか考えていた。

<つづく>