ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

いつも見ている風景<4>

 相手は寝転がって目をつぶっているけど起きているのは分かっていた。ボクはカーテンをそっと閉じて再び寝転がった。

 ボクの好みのタイプだ。

 年齢は同じ年くらいに見えた。ボクと目が合って、それから戻って来て隣の部屋で寝てるってことは、彼の方も少しはボクに気があることを表していた。ボクは寝返りを打つ振りをしながら、そっと右手を毛布から出して自分の布団の右端ギリギリまで伸ばした。すぐ横にはレースのカーテンがあって、その先には隣室の布団がある。ボクは相手の反応を待った。しばらくすると彼の方も寝返りを打った。ボクは少し目を開けて彼の方を見た。彼の左腕が毛布から投げ出されて、ボクの方に向けられていた。ボクは相手の左腕が動くの待った。そしてボクの右腕をほんの数ミリ単位で動かしながら彼の方に近づけた。ボクは自分の腕がカーテンに触れたところで動きを止めた。そして目をつぶっていた。

 二分くらい時間が経過した。

 ボクの小指に微かに何かが触れた感触がした。触れたのは彼の指だった。ボクは微かに指を動かして、相手に触れ返してみた。すると彼の方も指を動かして、再びボクの指に触れてきた。ボクは小指を相手の指に絡めて触り返した。すると彼の方でも同じようにボクの指に絡めてきた。お互いの指を絡めたまま動かないでじっとしていた。そして暫くしてからボクらは他の指も絡めてお互いの手を強く握り合っていた。

 ボクはこの瞬間が大好きだ。

 相手とキスしたり抱きついたりするよりも手を繋いでいる瞬間が一番心が安らぐ。話したこともない相手なのに、ずっとこのまま彼と手を繋いで繋がっていれたらいいのに、いつもそう思ってしまう。でも彼は自分の布団の方に、ボクを手を引き寄せて来た。ボクは相手の誘いに答えてカーテンを乗り越えて自分の体を移動する。

 一時間も経てば彼と別れて、ボクはまた一人でさっきと同じように寝転がって天井を見つめている。ずっと同じことの繰り返しだ。
 
<終わり>

※この文章は実際に「ある場所」で寝転がって、その場で思ったことや起こったことをスマホで書いてみました。