銭湯で起こったあることについて

  先日、以下の記事を読んだ。 銭湯について思うことを書きたい。

 

 まず断っておくけど、ボクはゲイだけど銭湯で変なことをしようとは思わない。そもそも男性を好きになるけど、あまり男性の裸は見たくないし、恋愛感情を抱いてもない相手の裸を見ても何の感情も湧かないからだ。

 

 大学生時代、ひょんなことから銭湯をハッテン場として利用している人がいることを知った。ボクが同性愛者の世界に入っていくきっかけになったのも銭湯だった。それは以下の記事に書いてある。 

 

 社会人になってからも一人、もしくは帰省した時に家族と一緒に銭湯に行くことはあるけど、浴場の入り口付近に「体を触るなど迷惑行為を行ったら通報します」といった注意書きがされているのをよく見かける。ボクはその注意書きに気がつくけど、ゲイでない人にとっては、その注意書きは何の関心もないみたいで、目にも止まることなく素通りしている。まるでボク自身にも注意書きが向けられているようで胸が苦しくなる。まれに銭湯の前にパトカーが止まっているのを見かけることがある。「誰か間違ってノンケに手を出して通報されたんだろうな」とか思う時がある。なんだか銭湯に行くと何もしていない自分もいづらくなってしまって、なるべく銭湯にはいかないようにしている。

 もう十年以上前のことだ。

 ボクはある銭湯に行った。その時、父親と一緒に高校生くらいの知的障害者の子が銭湯に来ていた。父親はサウナに入ったりしていて息子を好き勝手にさせていた。

 ボクが露天風呂に出た時だった。

 露天風呂には、知的障害者の子と七十歳過ぎたお爺さんがいた。そしてボクが露天風呂に顔を覗かせた瞬間に、お爺さんが逃げるように走り去っていった。

 ボクは一瞬だけ何かが見えたような気がした。

 それは……浴槽の中でお爺さんが知的障害者の子の後ろに立って両手でその子の肩を持って……その子は痛そうな顔をしていて……本当に一瞬のことだったから、ボクの見間違いかもしれない。ボクはその知的障害者の子に話かけようかと思ったけど、露天風呂からフラフラと出ていってしまった。

 本当に一瞬の出来事だったので、そもそもボクの見間違いかもしれない。通報したところで相手は否定するだろう。そして被害者の子も何が起こったのか分かっておらず説明もできないため訴えることはできないだろう。ボクは何もできなかった。あまりの一瞬の出来事だったので、そのお爺さんの顔も覚えていなかった。あれはボクの勘違い?見間違え?だったんだろうか……とにかくボクには何もできなかった。その出来事から、なるべく銭湯には行かないようになった。