深夜のカミングアウト<4>

 地方のある会社にシステム導入をするため、ボクは一ヶ月近く出張することになった。客先に常駐して、客と打ち合わせをしたり、納品してから発生した障害対応や要望対応などしたり、それに操作教育や、導入した客から呼び出されて、操作説明をしたりしていた。発生するトラブルが多ければ多いほど常駐する期間が長くなる。大体のシステム会社の導入時の作業なんてこんなものだと思う。ボクの会社が持っているパッケージは割と安定していたので、下手なカスタマイズを入れない限りは、そこまで大規模にトラブルことはなかった。出張中なので客先とホテルを行ったり来たりしていて、自炊なんてできないので、食事は外食で済ませていた。

 客先からホテルに帰って風呂から上がってやることいえば村上君とのメールのやりとりだった。ホテルのベッドに寝転がって、ボクはニュース番組見たり本を読んだりしながら彼とメールのやりとりをしていた。

 そしていつも通りにメールのやりとりをしている最中だった。突然に今まで抱いたことのない感情がふつふつと沸き起こって来た。

 村上君に早く会いたいな。

 本当に何の前触れもなく突然に沸き起こって来て、体がドキドキしてきた。

 なんで急に会いたくなったんだろう。

 出張で一ヶ月近く会えずにいたからかもしれない。でも一度溢れ出した感情が抑えられなくなってきた。

 こういった感情って、昔はよく味わってた気がする。

 とても懐かしい感情。中学時代や高校時代にはよく味わってきた感情だった。

 もしかしてボクって村上君に恋してのかな?

 大学生になってから全くといっていいほど、同性にも異性にも恋愛感情を抱いたことがなくて、久しく忘れていた感情だった。でも、その日までは村上君はただの仲の友達といった程度の関係で、それ以上の感情を持ったことは全くなかった。

<つづく>