ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

深夜のカミングアウト<8>

 客先へのシステム導入がひと段落した時点で、ボクは東京の本社に戻ることになった。これからは、何か大きなトラブルが発生した時や、月に一回ぐらいのペースで客先に顔を出せばいいことになっていた。

 数ヶ月ぶりに東京に戻って、ボクは新幹線から降りて、そのまま本社に戻った。時刻も夕方近くになっていたし、このまま帰宅しても問題はないのだけれど、どうせ村上君と飲みに行く約束をしていたし、何よりも彼の顔を早く見たかった。

 ボクは所属する部署のオフィスに顔を出した。同僚と久しぶりに顔を合わせたせいか、なんだか恥ずかしいような気がしていた。
既に別のプロジェクトが動いていて、以前はボクが使っていた机やパソコンは、既に別の人が座って仕事をしていた。よく見ると新しい派遣社員が何人かいた。オフィスを見渡しても村上君の姿は見つからなかった。彼の関わっているプロジェクトメンバーの席が空いていたので、きっと打ち合わせでもしているのだろうと思った。

 ボクの次に入るプロジェクトは決まっていた。新規導入のプロジェクトではなく、既に導入済みの客先から、少し大きめのカスタマイズ依頼が来ていて、新規導入のプロジェクトが動き出すまでの、つなぎのようなプロジェクトだった。明日からの仕事の準備をするため、新しい座席に座ってパソコンの設定をすることにした。

「客先にいい男はいたか?」

 最初にボクをホモ扱いした上司がニヤニヤしながら話しかけてきた。

「う~ん……イマイチでした。やっぱり人口の多い東京の方がいい男が多いですね。でもその会社の新入社員の男の子は若くて可愛かったですよ」

「お前……客先の男には手を出すなよ」

「もし手を出してトラブルになったら、後始末はお願いしますね?」

「手を出すなら自社の社員にしろよ。あっ……そうそう。こいつが前に言った神原ってホモだから、手を出されないように気おつけてくださいよ」

 その上司は、わざわざ新しい派遣社員にボクのことを紹介していた。彼らは「あぁ……これが例の人か」という感じで、物珍しそうにボクの見ていた。

<つづく>