小説『ボクの彼氏はどこにいる?』の感想

『ボクの彼氏はどこにいる?』という本を読んだ。正確に言うと、この本を読んだのは二年くらい前だ。石川大我さんというゲイの方が書いた本で、現在は豊島区の議会議員をされている。

ボクの彼氏はどこにいる? (講談社文庫)

ボクの彼氏はどこにいる? (講談社文庫)

 

 この本……実はこのサイトを始めるきっかけになったものでもある。

 同性愛をテーマにした本は何冊か読んだことがあるけど、評論文のような本ばかりで、どこか別の世界の話を聞かされているようなものばかりだった。全く共感できなかった。この本は別物だった。一人の同性愛者の人生の幼年期から大人になるまでの過程を、前向きな語り口で書かれていて、「あぁ……この人は本当に同性愛者なんだろうな」と、共感して噛み締めながら読んだ初めての本だ。

 でも読み終わって本を閉じた後、心の中でモヤモヤとした違和感を感じていた。

 語弊があるかもしれないけど、同性愛者の人たちって、この本に書かれているような綺麗な人生を歩んでいるのだろうか? 

 ボクの知っている同性愛者の人たちは、本に書かれていたような明るくて前向きな人生を歩んでいる人はいない。同性愛者って……もっと人には言えないような隠された部分が沢山あるものだと思った。

 この作者は……

 裸にタオル一枚で前を隠して、有料ハッテン場の廊下に立ったことはあるんだろうか? 

 同性愛者の出会い系の掲示板に書き込んで、誰かと会ったことはあるんだろうか? 

 名前も知らない誰かと肉体関係を交わしたことはあるんだろうか?

 そんなことを考えてしまった。
 
『ボクの彼氏はどこにいる?』という本は、とても面白くて、同性愛者なら共感できる部分が沢山あると思う。是非読んで見て欲しい。この本を批判するつもりは全くない。  

 でもこのモヤモヤとした違和感が、このサイトを始めるきっかけを与えてくれた。つたない文章だけど同性愛者として人に言えない部分も包み隠さず書いてみたいと思った。

 この本は、このサイトを始めるにきっかけになった大事な本だ。