ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

同性愛者の性長記録<8>

 ボクは瀬戸君の側に行って、彼がどんな雑誌を読んでいるのかそっと覗き込んだ。雑誌には水着姿の綺麗な女性がいた。彼はボクの方を一瞥したけど嫌がる素振りも見せないで、一緒に見ていることを気にすることもなく集中して雑誌を見ていた。

 瀬戸君は何を考えているんだろ……あの水着姿の女性とセックスしてる最中でも想像してるのかな?

 ボクはすぐ側で彼の横顔をそっと見ていた。すると何だかドキドキしてきた。それは彼と水着姿の女性がセックスしている所を想像してしまったからだ。そしてボクのドキドキしている主な原因は、ボクの想像上でセックスをしている瀬戸君の姿だった。今まで瀬戸君に恋愛感情を抱いたことはなかったけど、高校生になったボクは愛情がなくても肉体関係が結べるくらいには成長していた。ボクは必死に瀬戸君に対して妙な感情を抱かないように押させていた。

 これだけ沢山のエロ本に囲まれて、ボクは何を考えてるんだろう……

 まさか瀬戸君からすれば、隣にいる同級生が同性愛者とはいえ妙な感情を抱き始めているなんて想像もしないだろう。でも彼の立って雑誌を読んでいる姿(エロ本だけど)を見ていると、情けない話だけど、やっぱり裸の女性よりも魅力的に見えてしまうのだ。瀬戸君を見ていると胸がドキドキして苦しくなってきた。

 しばらくすると瀬戸君は読んでいた雑誌を閉じた。そして雑誌を片手にレジに行った。どうやらその雑誌を買うようだ。ボクは既に同性愛者向けの本を探すことを諦めていた。これ以上、裸の女性を目にすることに耐えらなかったからだ。瀬戸君は会計を済ませてから、雑誌をカバンの中に大切そうにしまった。ボクも瀬戸君の後について一緒に店を出た。ボクらは特に行くあてもなくて一緒に街をフラフラと歩いていた。

「ねぇ……その雑誌ってどこに隠すの?」

 ボクは少し興味があったので訊いてみた。学校でも次々と新しいエロ本を持って来ている彼のことだから、沢山持っているに違いなかった。

「俺の家は隠す必要がないんだ。父親も兄貴も普通に部屋に置いてるし、父親が買ったエロ本を俺も普通に借りて見てるからね」

 すごい家庭だな……そう思った。瀬戸君の見かけは大人しそうだから、なおさらそう感じてしまうのかもしれない

「母親は何も言わないの?」
「うん、俺の部屋の掃除もしてるけど、普通にエロ本を置いたままにしてても特に何もしないよ」
 
 これが健全な男子学生の姿なんだろうか……でもボクのようにアニメ雑誌をおかずにしているよりは健全なのかもしれない。まさか瀬戸君にアニメ雑誌の同性をおかずにしてるなんて恥ずかしくて言えないと思った。

 その後、ボクは瀬戸君と一緒に、さっき出会ったCDショップに行ったり、健全な本屋を見て回ったりした。H書店で少しだけ抱いてしまった瀬戸君への妙な感情もあってか、友達同士で遊んでるだけなのにデートをしているような感覚になってしまって嬉しくてしょうがなかった。H書店で同性愛者向けの本が見つからなかったことへの悔しさは全く感じなかった。

<つづく>