ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

同性愛者の性長記録<9>

 さて……H書店には本当に同性愛者向けの本があったのだろうか?

 今となっては確認する術もなくなってしまった。それはボクが社会人になってからH書店が潰れてしまったからだ。ボクがH書店に入ったのは、その一回きりだった。裸の女性がプリントされたエロ本に囲まれて、男性の同級生を見て何故かドキドキしていたという記憶があるだけだ。

 きっと……ボクが探せなかっただけで同性愛向けの本はあったんだと思う。
 
 ボクはそう思うことにしている。あの狭い店内の中、山のような裸の女性のエロ本に囲まれて、埋もれるように下着姿の男性や裸の男性のプリントされた本や雑誌が数冊だけあったに違いない。そういう風に想像するだけでも楽しくてワクワクしてくる。

 ※2018/1/31〜2/3に追加で以下の文章が入りました。

 

◇  

 さて次に話すのは、高校一年生だったH書店の出来事から、二年ほど月日が流れて高校三年生の時代だ。

 ボクは高校からの帰り道の途中ある古本屋に立ち寄った。それは全国どこにでもある古本屋の系列店だった。ボクは学校からの帰り道に、その古本屋によく立寄って、小説の文庫本を購入して授業中に教科書に隠しながら読んでいた。週に一回はその古本屋に寄って、新しく売り出された本がないかチェックしていた。たまには小学時代の同級生と出くわして、「神原さんってホモになったって本当?」などと、店内に響く大きい声で質問されたこともあった。問い詰められたボクの方も、「ははははっ……本当だよ」と笑いながら認めていたのだから、大人になった振り返ると我ながら恐ろしい子供だったと思う。

 えぇ……と話は戻って、その古本屋に行くと、ボクが確認する棚は決まっていて小説コーナーと漫画本コーナーの二つの棚だけだった。その小説コーナーと漫画本コーナーの間に、見慣れない本を並べたコーナがあった。確か高校二年生くらいから、この二つのコーナーの間に見慣れない本が出没し始めて、時が経つにつれて徐々に冊数を増やしていった。ただボクの視界には入っていたけど興味がなくて、それが何の本であるのか全く意識したことがなかった。

 その見慣れない本は、時が経つにつれて徐々に冊数が増えて棚の範囲も広くなっていった。そして嫌でも小説コーナーや漫画本コーナーを行き来していると目につくようになった。

 ある日、漫画本を立ち読みしていると、漫画本コーナーのすぐ隣まで侵食してきた、その見慣れない本の表紙が目についた。

 あれ……この本の表紙って、確か少年ジャンプで連載している漫画じゃなかったけ?

 そう思いながら、今まで気にもしてこなかった隣のコーナーにある本を手にとってみた。表紙に描かれたイラストは、確かに少年ジャンプに連載中の漫画だったけど、どうみても絵は原作者が書いたものではなかった。むしろ少年向けと言うよりは、少女向けのイラストに変わり果てていた。ボクは「下手くそな絵だな……」と苦笑しながら、その本のページをめくった。

 ここまで読まれた方は薄々気づいていると思う。つまり……ボクが手に取っていた本は「同人誌」なのだ。

<つづく>