同性愛者の性長記録<19>

 長々と書いて来たけど、ようやく大学二年に戻って来た。

 本当に……いい時代になったもんだな。

 ボクはアパートのカーテンを閉めてズボンを下ろして、パソコンの画面に映ったゲイ向けのアダルト動画を見ていた。ノンケ向けのアダルトビデオを、おかずにした時は自己嫌悪で一杯になって気持ちいいって感情は湧かなかったけど、やっぱりゲイ向けのアダルト動画を使うと気持ちよかった。

 ここまでたどり着くのに本当に長かった……

 アニメ雑誌に載ってる同性のアニメキャラ。修学旅行の写真に写ってる同性の同級生。やおい向けの同人誌。ノンケ向けのアダルトビデオ。色々な遍歴を重ねて、ようやくゲイ向けのアダルト動画にたどりついたのだ。初めてゲイ向けのアダルト動画を見た時の感動を今でも覚えている。

 本当に……ゲイ向けのアダルト動画がこんなに簡単に手に入ってしまっていんだろうか?

 そんなことを考えては胸がドキドキして落ち着かなくて、意味もなく部屋の中をうろうろと歩いた。もしボクがノンケだったら、裸の女性が載った雑誌もビデオも中学時代か高校時代にはとっくに持ってただろう。でもゲイであるボクにとっては、そんなものはゴミに近かった。ボクがゲイ向けのアダルト動画と出会うまで大学時代まで待たされたのだ。田舎育ちというデメリットもあるんだろうけど、ゲイと聞いても本当にゲイに関する情報は無くて、テレビに出てくるオカマキャラくらいしか実感が湧かなかった。

 ボクは大学二年生になり、ようやくインターネットのゲイ世界へと足を踏み出した。

 そして初めてゲイ向けのアダルト動画と出会うことによって、子供の頃におかずにしていたアニメ雑誌はすぐに手元から消えていった。そして同時に自分より年下の人間にも興味がなくなっていった。同年代か少し年上の男性にしか興味が無くなっていった。もしインターネットがなかったら、ホームページを通してハッテン場というものの存在を知るのはもっと後だったろう。出会い系の掲示板やチャットやMIXIを通して何人ものゲイの方と知り合うこともなかっただろう。大学時代にインターネットが使えるようになったおかげで、ボクのゲイ人生は大きく変わっていった。きっとボクと同じような実感をされた人も多いと思う。

 この章では、ボクの人生の汚点を赤裸々に書いて来たけど、実は……皆さんも多かれ少なかれ、ボクと似たような体験をなさってるのではないか?と少し期待もしています。いや、むしろ似たような体験をしていて欲しいです。だって……ボクだけがこんな体験をしてるなんて恥ずかしくて恥ずかしくて。呆れないで最後まで読んでくださった方へ。ありがとうございます。

<終わり>