ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

愛から遠く離れて<6>

四条大宮に着きました。

 ボクは近くの駐輪場に原付を止めて待ち合わせのコンビニの前に立ってメールを打った。

5分ぐらいで迎えに行きます。

 すぐに彼から返信があった。四条大宮は夜になっても会社帰りのサラリーマンが多い。コンビニの前で手持ち無沙汰で立っているのが恥ずかしくて、ボクは携帯を触るふりをしていた。でも本当は周囲に目を配っていて、どこから彼がやってくるのかドキドキしていた。しばらくすると少し離れたところにパーカー姿の若い男性がいるのが目に入った。その人はボクの方を見ながら近づいてきた。「あの人だな」と思ってボクも携帯を閉じて彼に目を合わせて近づいて来るのを待っていた。

「チャットしてた人でしょ?」
「はい。そうです」

 目の前の男性は26歳と言ってたけど、もっと若そうに見えた。

「本当に26歳ですか?  大学生かと思いました」
「ありがとう! とりあえず俺の家に行こうか?」

 ボクの言葉を聞いて彼は恥かしそうに照れていた。僕は頷いて彼の横に並んで歩き出した。彼の家は四条大宮の近くでアパートに住んでいた。本人もチャットで言ってたけど「全くゲイぽくない人だな」と思っていた。

「チャットしてる時にイメージした通りに真面目そうな子だね」
「ボクもイメージ通りでした。もしかして女装してたらどうしようかと思ってました」
「女装してる人が好きなの?」
「いえ……むしろ苦手です。ただ大学生になって初めて出会い系の掲示板に書いて会った人がいたんですけど、その人が女装してたんですよ」

 ボクの話を聴いて、彼は手を叩いて笑っていた。

「それは……凄いね。事前にどんな人なのか確かめなかったの?」
「それがあっという間に会うことになってしまって、初めてで確かめるタイミングもわからなくて……」
「その人とヤったの?」
「いえ……無理ですよ! 人としては嫌いじゃないからメールはしてますけど」
「ごめんね〜俺も女装して会いにいけばよかったね〜」
「もう……止めてくださいよ!」
 
 そうこう会話をしているとボクらはすぐに彼の部屋に着いた。彼はポケットから鍵を出してドアを開けた。ボクは声を出さずに物音を立てないようにして、そっと彼の部屋に入った。なぜだろう……こうやって誰かと待ち合わせして部屋に入る時は、物音を立てないように静かになってしまう。きっと心の奥で後ろめたい気がしてるんだと思う。隣室から「男を連れ込んでる」と知られたら彼も困るだろうとも思った。

 それから、ボクらは部屋に入ってテレビを見ながら会話を続けていた。

 お互いの生活について当たり障りのない話をしたり。出会うきっかけになったチャットの話をしたりした。

「どうする? 俺は君ならヤってもいいけど?」

 話が切れたタイミングを見計らって彼は言った。

「ボクもいいですよ」

 ボクも彼の目を見ながら答えた。

「じゃあ……シャワー浴びる?」
「先にどうぞ」
「分かった。先に浴びるね」
 
 彼がシャワーを浴びる音を聞きながら、ボクは落ち着かなくて彼の部屋の何度も見渡していた。清潔感もある人で、きっとこの人なら大丈夫だとという気分になっていた。彼の後にボクもシャワーを浴びた。シャワーを浴びて下着を着て居間に戻ると、彼は下着姿でベッドに腰掛けてテレビを見ていた。それからボクの姿を見て立ち上がってゆっくりと近づいてきた。

 ボクはそれから彼に抱かれてベッドに入った。彼は経験の少ないボクを優しくリードしてくれた。そして2時間くらい抱き合ったり、抜き合いをしてお互いに満足してからシャワーを浴びた。「明日も仕事なんで見送りはいいですよ」と断ったけど、彼は原付を置いている駐輪場まで見送ってくれた。ボクは深夜1時過ぎに家に帰った。

<つづく>