ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

出逢いたくなかった人<1>

「早く君も来なよ!」

 ボクの目の先で笑顔で手招きしている男性がいる。その男性の目の前をクラクションを鳴らしながら何台もの車が凄い勢いで通り過ぎていった。

「えっ! 危ないですよ!」

 ボクが戸惑っている間にも彼の前をクラクションを鳴らしながら車が通りすぎていた。ボクがいるのは京都の堀川通の二条城前。堀川通は京都市内の中央に位置する大通りだ。道路の車線は5つ以上ある。時間帯は19時の帰宅ラッシュだった。

 手招きしている男性は横断歩道もない道路を次々と横切って行った。道路途中の白線上で立ち止まっては、「早く君もついて来なよ!」と言う感じで笑いながら振り返っていた。彼のそばを車が次々と通り過ぎっていく。通りすぎる車の中では運転手が呆れた顔をして彼を見ていた。そして歩道を歩く人たちも呆れた顔をして彼を見ていた。

 どうしよう……こんな交通量が多い道路を横切ったら死んじゃうよ!

 ボクは500mくらい先に横断歩道があることに気がついた。彼に向かって「横断歩道でそっちに行きますね」と叫んだ。でも道路の真ん中にいる彼には聞こえないと思ったので、横断歩道を指差してジェスチャーで伝えた。

 なんでこんなことになったんだろう……

 ボクはゲイ向けの出会い系掲示板を経由して彼と出会った。メールアドレスを交換して二条城前で待ち合わせした。ボクらは出会って挨拶もそこそこだったんだけど、彼は「ちょっと反対車線に行かない?」と言い出して急に道路を横断し始めたのだ。ボクは彼が何を意図して反対車線の歩道に行きたかったのか分からなかった。彼は理由を聞く間も無く道路に飛び出して行った。

 ボクは横断歩道まで来て信号が青になるのを待った。道路を見ると彼は無事に渡りきって反対車線の歩道にたどり着いていた。彼が事故に合わなかったことにホッとしつつも、「どうやら彼とは性格が合わなさそうだ」と思った。それからどうやって彼の誘いを断わろうか考えていた。

 ちょっと常識が無さそうな人だし、いきなり断ると怒り出すかな?

 横断歩道を渡って、ドン引きしているのを顔に出さないように注意しながら
彼の元に向かった。

 これはボクが今まで出会ったゲイ仲間の中でも一番困った人についての話です。

<つづく>