ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

出逢いたくなかった人<6>

 ボクは彼から来たメールを見て携帯を持つ手が震えた。もちろん彼のメールに返信をするつもりはなかった。ただ返信をしないでいると次のメールが送られてくることは間違いなかった。そして予想通りに5分以内にメールの着信音が鳴った。

返信まだー?

 きっと昨日と同じパターンで短時間に次々にメールを送って来るだろうなと想像がついた。ボクは3通くらい続けてメールを受信してから怖くなって携帯電話の電源を切った。そして電源を切った携帯電話を机の上に置いてから、恐怖で心臓がバクバクしていてもたってもいられなくなり部屋の中をうろうろ歩き回っていた。

 あの人は一体何を考えてメールして来たんだろう?

 ボクに対して次に会ったら殴るとメールしておきながら何事もなかったかのように「今から会えない?」ってメールして来るなんて、「まさかボクがのこのこ会いに行くなんて思ってるんだろうか?」と理解ができなかった。ボクはマゾではない。次に会ったら殴るなんてメールを送られても興奮しない。彼に対して特に恐怖を感じた点が、使い捨てのメールアドレスではなくてキャリアメールを経由してメールを送って来ている点だった。使い捨てのアドレスだったら、「いたずらのつもりで送って来てるんだろうな?」とも思えるんだけど、彼はキャリアメール経由で送ってきているので、本気でボクに会うつもりでメールをしてる気がした。それがボクには恐くてたまらなかった。

 そろそろメールも最後まで送り終わったかな……

 いつまでも携帯の電源をオフにしておくこともできなかった。ボクは机に置いた携帯電話と1時間くらい睨めっこしてから、勇気を出して手に取って電源を入れた。しばらくすると溜まっていたメールが次々と受信され始めた。メールの件数は15件くらいで朝方に受信した件数よりは少なかった。基本的なメールの流れは前回と同じだったけど、最後のメールは少し心が傷ついた。

あくまで返信しないつもりなんだね。お前の汚い顔は二度と忘れないし、次に会ったらボコボコにしてやるよ。

 ボクはそれから布団に入っても彼からのメールが恐くなってなかなか寝付けなかった。なんとなく嫌な予感がしていた。

 もしかしてまたメールが来るんじゃないだろうか?

 そしてAM3時くらいになるとまた携帯電話のメールの着信音が鳴った。ボクは恐る恐る携帯を開いてメールを見た。

今から会えない?

 やっぱり彼からのメールだった。ボクは恐くなって携帯電話の電源を切ってから部屋の隅に投げ捨てた。頭の中では携帯のメールが気になってしょうがなかったけど、それを無理やり忘れるかのように浅い眠りについた。それから彼のメールは翌日になっても続いた。

お前のことをボロクソに書いて掲示板に晒してやるよ。

 彼から送られて来たメールの途中に、こんな文章が書いてあった。ボクは自分の悪口を書かれるのではないかと恐くなって掲示板サイトを確認した。でもどこにも彼の書き込みは見つからなかった。

 掲示板に晒すってどんなことをするんだろう……ボクの容姿のことを書いたりメールアドレスを公開されるのかな?
 
 彼がどんな行動に出るのか見当もつかなくて怖かった。そして次の日の夜になった。ボクはパソコンの前に座って彼がどこかに書き込みをしていないか気になって掲示板サイトを確認していた。そしてようやく彼の書き込みを見つけた。彼が書き込んでいたのはボクらがメールのやり取りをするきっかけになった掲示板サイトだった。

<つづく>