ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

現在進行形の同性恋愛<3>

 

「じゃあシステム導入の担当だけど、うちは神原君がするとしてそっちの部は誰がメインで担当するの?」

 新規のシステム導入を進めていく会議中だった。システム導入を担当するボクの部署とシステムを導入する先の部署の管理職が会話していた。転職して1年が経って、そろそろボクもシステム導入の仕事を一人で担当するようになっていた。いつか別の機会に詳細を書くつもりだけど、ボクの今の仕事は社内SEと言ってもいいのかもしれない。そうボクはシステム会社でシステムエンジニアとして働いていたんだけど、転職してから社内SEとして働いている。でも正確に説明すると社内SEでもないのだけれど、その業務についている人が日本でも少ないからこれ以上は説明できない。システム導入にあたって、ボクはシステム面に関してはサポートできるけど導入先の部署の業務に詳しい人が必要だった。

「じゃあうちの部は古賀さんにやってもらいます」

 管理職の後ろの方で「えっ?」と困った感じになっていた人がいた。

 あの人が古賀さんなのかな?
 
 隣の席の人からは「頑張ってね」と小さく声をかけられていた。

 何だか頼りなさそうな人だな……

 ボクはシステム導入の担当に指名された古賀さんを見てそう思った。さっきから同じ会議室にいたのにも関わらず、ボクの中で彼は眼中に入っていなかった。それだけ当初は彼に対して何の関心も抱いてなかったんだと思う。もし会議室に好みのタイプの男性がいれば、やっぱり自然と視線がそっちに向いてしまうからだ。今までも彼とは廊下ですれ違ったりしていた記憶はあったけど、ボクは彼に対して何の感情も抱いていなかった。でもこれから1年間以上は、彼と一緒に仕事をしていくんだから仕事上の関係は別だよねと思っていた。そのまま会議が終わってからボクはこれから一緒に仕事をしていくんだからと彼に挨拶して行った。ボクは「よろしくお願います」と頭を下げた。

「よろしくお願いしますね〜」

 彼は笑いながらとても丁重に頭を下げてきた。ボクは彼の笑顔を見て少し照れてしまった。

 この人は……なんて優しそうな雰囲気を持っているんだろう。

 今まで生きてきてこんなに柔らかい雰囲気を持っている人に出会ったことがなかった。全く毒気を感じない笑顔を見て、ボクは「この人は今まで生きてきて他人に対して怒ったりしたことがあるのかな?」と思った。そんな風にまで思わせるほど柔らかい感じの人だった。身長はボクよりも1センチか2センチは低そうだったから161センチくらいだろうか。特に細くもなく太っているわけでもない体型で運動をしている感じでもなかった。笑うと目尻に少しだけ皺ができて、それが年上の感じを強くするんだけど彼の柔らかい雰囲気が強調されていた。ボクは彼の笑顔を一目見ただけで惹かれてしまった。

 ボクはそのまま自部署に戻った。そして古賀さんのことが気になってどんな人なのか同僚から情報を収集した。

「とにかく優しい人だよ」

「人から嫌われたりしたことがなさそうな人だね」

 どの人から聞いても彼に対するマイナスの言葉で出て来なかった。「なるほど見た感じの雰囲気と性格も同じなんだ」と思った。でもボクはまだ彼に対して恋愛感情は抱いていなかった。

<つづく>