ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

現在進行形の同性恋愛<4>

 ボクは彼の人間性に惹かれつつあった。でも所詮はノンケだから惹かれたところでどうしょうもないという諦めの気持ちが最初からあった。それに温和な性格なのはいいけど、それと仕事がこなせるのは別物だと思っていた。ボクと彼との関係はあくまで仕事上の関係なのだ。ただボクの予想は大きく外れた。古賀さんは仕事もこなせる人だった。2人で打ち合わせを進めていくと彼が作成する資料の質の高さに驚かされてしまった。

「よくシステム導入の経験がないのに、ここまでの資料を作成できますね」

 新規のシステム導入の作業なんて彼の本来の業務外のはずだ。それなのに彼は大量の資料を次々を作成してきた。ボクは年上相手なのに思わず感心して褒めてしまった。

「システムのことは全く知らないけど、頭の中で考えながら資料を作るのは好きなんですよ」

 彼は笑顔でそう言った。どうやら資料を作成するのが楽しくてしょうがないようだ。それに彼が作成する資料は、どれもシステムエンジニアが作成して出してくるような資料ばかりなのだ。どうやらシステムエンジニアなのに文系思考の強いのボクよりも、よっぽど理系思考の強い人のようだ。それに理解力も早くて頭もよかった。

 2人の作業は順調に進んでいった。彼は初めて話した時と変わらずにずっと温和に接してくれた。

 この人と一緒に暮らせたら幸せになれそうだな。

 いつの間にかボクはそんなことを考え始めていた。「こんな人だったら一緒に支えあって生きていけるだろうな」と思った。彼はボクに対してだけ特別に優しく接している訳ではないのは分かっていた。でも彼の温和な接し方を見ていると気持ちがほのぼのとしてなんだか心が温かくなって。ボクは次第に彼から電話やメールがあれば嬉しくてしょうがない状態になっていた。

「また古賀さんからメールが来てるよ」

 ボクはメールを受け取って嬉しくてつぶやいた。

「また古賀さんからメールですか? 電話も多くてラブラブですね!」

 同僚の高山君が冷やかすように言った。ボクは普通に赤くなって照れてしまった。これじゃ職場でゲイなのがバレバレだよね。

 ◇

 

 それから少し経ったある日のこと。ボクらは上司を交えての会議をしていた。ボクは向かいの席に座って資料を見ている彼の姿を見て何だかドキドキしてしまった。そしてようやくボクは自分の気持ちに気がついた。

 あぁ……ボクは彼のことが好きなんだ。

 ボクはようやく彼に対する思いを認識できた。彼の体のどこを見ても胸が苦しくなっている自分に気がついた。ボクは彼に完全に恋していた。そしてついでにこう思った。

 この人と一緒に暮らしたいな……

 彼と一緒に食事をしたり。一緒に家事をしたり。一緒にどこかに出かけたり。休日をのんびりと家で過ごしたりしてみたいと思った。誰かを好きになったことはあっても、一緒に暮らしたいという思いを強く抱いたのは初めてだった。でも彼はノンケだから恋愛感情を抱いても意味がないはずだった。それなのにボクは意味がないとは思わなくなっていた。ボクは彼に対してある一つの疑念を抱いていた。

 なんでこの人は独身なんだろう?

 これだけ性格が優しくて外見も普通なのに、どうして結婚しないのかと疑問を抱いていた。外見が「普通」と書いたけど彼に恋しているボクにはカッコよく見えてしまう。ただボクの恋愛感情を引いて見たとしても彼の外見が温和で人間味が溢れていることは間違いないと思った。どうみても優しくて家庭的な感じの人なのに彼に接近してくる女性がいないとは考えられなかった。
 
 そしてその疑念がいきつく先はある予感だった。

<つづく>