ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

現在進行形の同性恋愛<5>

私も独身なんですけど、神原さんが犠牲になってくれるおかげで助かります(笑)

 ボクは彼から送られてきたメールの最後の文面を見て思った。

 彼は何で結婚しないんだろう?

 福岡とはいえ田舎だったので、同僚の多くは20代後半までに結婚していた。彼が女性にモテないとはどうしても思えなかった。職場では40代で独身の人もいるけど、どこかしら性格などで問題を抱えている人だけだった。残る結婚できない理由といえば思いつくものも限られていた。

 

 彼と初めて出会った時にボクは30歳で彼は34歳だった。彼は以前に東京の会社に就職したこともあったらしいけど、実家の家業を継げという親の命令もあって故郷である福岡に戻っていた。でも実家に帰ってきたのに彼は全く家業を継ごうとせず、今の職場に転職してしまった。今では親も家業を継がせることを諦めたようだ。一人暮らしではなく、親と同居して実家から職場に通勤していた。彼に「彼女はいるんですか?」と質問すれば済む話なんだけど、もし「いますよ」と答えられたら、その瞬間にボクの恋は終わってしまう。ボクはだらだらと先伸ばしにして彼に女性の影がないか監視していた。でも彼には女性の影は全く感じなかった。

 もしかしたら古賀さんはゲイなのかもしれない……

 そう思うようになったのは理由がある。それは彼が持っている柔らかい雰囲気が理由だった。彼は人当たりが本当に柔らなんだけど、人に接するときの話し方や仕草がどことなく女性ぽく感じさせていたのだ。例えば「ですよね~」「じゃないですかね~」(頭を少し傾けながら無茶苦茶おっとり話す)といった感じで女性的な感じで語尾を伸ばして喋ったり、話す時に口元に手を当ててたりして、彼のふとした仕草や喋り方が女性的なものを感じさせていた。

 ボクは彼と出会ってからしばらくして、彼の仕草や喋り方から「この人ってゲイなのかな?」という疑惑を抱いていた。ただゲイであるボクにすら彼が本当にゲイなの区別がつかなかった。その仕草や言葉遣いが彼がゲイだからやっているのか、それとも性格的に温和だから自然とやっているのかの区別は全くつかなかった。特にゲイの外見的な特徴で多いのが、短髪、顎ヒゲ、鍛えられた筋肉、日焼けだけど、そのどれもが彼には該当しなかった。

 ボクが今まで好きなったのは、好きになった時点で既にノンケだと分かっている人だけだった。つまり最初から恋は終了していた。ただ古賀さんに関しては、「もしかしたらゲイなのかな?」と思うことで可能性があると思っていた。

  ボクらは既に仕事上の関係を少し超えてしまってて、一緒に昼ご飯を食べたり、飲みに行ったりするようになっていた。職場全体で何かの説明会がある時もいつも隣に座っていた。わざわざボクの隣や近くの席に座って声をかけてくれるので、きっとボクと同じでお互いに相性が合うと思ってくれてるんだろう。

 もし彼がゲイだったら……もし彼がボクのことを好きになってくれていたら……きっとボクらは仲良く暮らせるだろうな。

 会議中に彼の隣に座っている彼の横顔を見ながらそう思っていた。それから1年が経って2年が経った。ボクの中での彼への疑念は強くなる一方だった。ボクは彼がゲイではないかと痕跡を、あらゆる手段を使って探し始めた。

<つづく>