ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

現在進行形の同性恋愛<17>

 あの結婚式が終わってからしばらくして2人の間に男の子が産まれた。結婚して彼女……いや奥さんはすぐに会社を辞めてしまった。そして子供を保育園に預けられるようになってからすぐに別の職場で仕事を始めたようだ。彼が家庭第一主義になったのは職場の女性たちを経由して聞いていた。「そりゃ……彼ならそうなっちゃうよね」と思って、もう以前のように2人で飲みに誘うのも悪い気がして控えるようになった。

 でもボクは今だに相変わらず彼への思いを捨てきれずにいた。

 彼と廊下ですれ違った時、なんだか疲れているように感じがした。

「古賀さん……最近なんだか疲れてません?」
「分かります? いや〜最近いっぱいいっぱいで〜」

 彼は結婚して子供が生まれてから急に歳を取ったように思う。目尻のシワが増えた。いつのまにか少し白髪もある。でもそれすら彼の深みが増したようで素敵だと思う。シワが増えて笑顔の優しさが増したように思えるし、白髪のある髪も綺麗だ。

 そりゃ分かるよ……何年間もずっと見てきたからね。

 彼の変化がボクには手に取るように分かる。ボクは彼が嬉しそうだったら分かるし、彼が疲れていたら分かるし、彼が風邪をひいていたら分かる。会議で大量の資料が配れてその中で数枚だけ彼が作成した資料があった。ボクは少し資料を見ただけで彼が作成した資料だとすぐに分かる。さりげなく彼に指摘をすると「なんで分かるの?」と驚いてるけど、なんで分かるのかは理由は教えてあげない。
 
 少し余談。これは後から知ったんだけど、彼が疲れている原因は子育て以外もあることが分かった。彼はボクと作業していたシステム導入の実績が認められて、本来の仕事は関係がないシステム関係の仕事が次々と舞い込んでくるようになっていた。ようは……子育てにプラスして仕事量が増えて忙しくなってしまったのだ。それはボクが原因だった。ボクが「彼は使えます」と上級職のメンバーの前で何度も言ったので、それが引き金になって彼に次々と仕事が舞い込むようになってしまった。それに彼が仕事をさばけてしまうので更に仕事が追加で依頼されるという状態になってしまった。こんなに身近に意外な特技を持った人がいたのかって上層部からすると掘り出し物を見つけたみたいな感じだ。今まで目立たないでひっそりと社会人としての人生を送ってきたのに大変申し訳なくもあり……ただ彼のシステム関連の仕事が増えれば必然とボクとの接点が増えてしまってボク自身も大変困っており嬉しくもあり……彼から協力を依頼されたら最優先で対応してしまって……あぁ〜なんて悪循環。彼がこの事実を知ったら初めてボクのことを怒るかな? でもきっと困ったように笑うだけだと思う。

 今でも毎日のごとく古賀さんからメールや電話がくる。

「また古賀さんからメールが来てる〜」

 自席で嬉しそうに呟いてしまい同僚の高山君から疑惑の視線を感じる度に、「めんどくさいな〜」と下手な嘘をついてごまかしている。きっと嬉しそうな顔は隠せてないバレバレの嘘。

 今でも毎週のごとく古賀さんと打ち合わせをしている。
 
 彼が話す時に首を傾げて女性的な感じで笑っていたり、コップを持つ小指が立っているのを見る度に「やっぱり古賀さんはゲイなのかな?」と疑惑が湧いてくる時がある。でも今更彼がゲイだと分かってもどうしようもない。

 でも……ずっと二人だけの打ち合わせの時間が続いてくれないかなと思う。

 彼と一緒にいると広い草原の中で一本だけ木が立っていて、ボクはその木の根元で寝ているように気分になる。心地いい風が葉っぱを揺らしていて木漏れ日で日向ぼっこしてるような気分になってなんだか気持ちが暖かくなってくる。これがボクが彼と一緒にいたい本当の理由。

 ボクは職場で好きな男性がいる。
 
 彼から「神原さんってゲイなの?」と質問をされれば「そうですよ」と答える。でもそこから先にある彼への思いは今はもう伝えることができない。

<終わり>