ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

それでもボクは盗ってない<2>

 ボクは体育館に向かいながらさっき同級生から言われたことを思い出していた。

 ホモだから体操服や半ズボン姿が好きなの?って……

 その質問に正直に答えればイエスとノーが入り混じっていた。好きでもない男の子のは見たくないけど好きな男の子であれば見たいと思った。大人になった今であれば好きになった男性が体操服や半ズボン姿になったらヒイてしまうし全く見たいという願望がない。この願望が無くなったのがいつの頃かと思い返すと大学時代だと思う。

 さっきとっさに返答ができなかったのは、高校時代のボクにとっては痛いところを突かれたからだ。でもそんな願望をみんなの前で言ってしまったら、体育の時間に着替える度に面倒なことになってしまう。

 好きな人の素肌が見えるとドキドキしてしまうのもやっぱり事実だった。

 中学時代に初めて同性のN君を好きになって彼の体操服姿を見た時、胸が締め付けらるような気持ちになった。彼の体操服の半袖から伸びている手や半ズボンから伸びて足を見る度に綺麗だと思ってドキドキした。

 ボクの気持ちに気がついていないN君はスキンシップが激しかったので、その姿のまま抱きついてきた。N君の体操服姿を見る度に目のやり場に困ていた。このまま彼を見ていたいという思いと見てはいけないという思いが交錯していた。同時に彼以外の生徒の同じ姿見ても何も感じなかったのも気がついていた。こういった複雑な感情を抱いたことがあるので、ボクは同級生からの質問に即座に答えることができなかった。でも言い訳にした「制服や私服を着ている方が好き」というのも真実だった。ボクは男性の裸に近い姿をそんなに綺麗と思うことがなくて、むしろ服をきちんと着ている姿の方が好きだった。

 それから体育館に行って授業が始まった。その日は雨が降っていて屋外での活動ができなかったため体育館で組体操というか柔軟体操のようなことをすることになった。2人1組になって次々とメンバーが入れ替わっていくんだけど、途中からいつもと違う雰囲気になっていることに気がついた。両手を床について逆立ちをしている相手を支えたりする時に、相手の足を持ったりするんだけど、なんだかボクに足を持たれるの嫌な顔をしている人がいた。柔軟体操で背中を押す時にも嫌な顔をしている人がいた。

 なんか……ボクとペアになるのに怖がっている人がいる……

 全ての生徒ではなかったけど、本当にごく一部の生徒は明らかにボクと体を接触することに抵抗があるような顔をしていた。そのごく一部の生徒の間では「うわー神原ペアかよ」「あいつ……ホモとペアを組まされて可愛そう」「俺も次に交代でホモとペア組むのかよ嫌だな」といった半笑いの視線が飛び交っていた。ボクはそのことに気がついたけど知らぬふりしていた。もう中学時代にカミングアウトしてからずっと続いていたから、そういった嘲笑には慣れていた。

 でも体育の授業中に同級生からこんな顔をされたの初めてだな……

 さっきの同級生の発言がきっかけになったのか知らないけど、明らかにボクと肌を触れ合うことに抵抗を感じているようだった。今まで中学時代からずっと気にしないでボクに接してくれたけど、高校生になって思春期を迎えたからかな?とも思った。男性と女性の違いを強く意識するようになって、男性が女性の体を触れたら緊張するだろうなと思った。それにボクと接している同級生が嫌がる素振りを取るのも分かる気がした。きっとこの場の雰囲気からして嫌がる素振りをしないとボクと同じホモ扱いされるような空気が出来上がっている気がした。嫌がる素振りをするのは「俺はホモじゃないよ!」と宣言しているようなものだった。

 彼らの頭の中でボクは男性じゃなくて女性なのかな?それともただの気持ち悪いホモなのかな?

<つづく>