ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

いつも見ている風景<5>

 いつまでこんなことを繰り返してるんだろう……

 ボクは抱き合って寝ている相手の頭を撫でながらそう思った。彼は寝ながらも時々強く抱きしめてくることがあってボクもその度に強く抱きしめ返していた。

 明日も仕事だし終電前には帰ろうかな……

 急に現実的な考えが頭をよぎった。ボクはそう思って寝ている彼を起こした。最後にお互いに抱き合いながら、また機会があったらよろしくと声を掛け合う。でもきっと次の機会なんてほとんどない。彼に別れを告げて個室のカーテンをめくって出た。個室から出ると薄暗い廊下の途中で立っている何人かが目に入った。その人たちの前をジロジロ見られながら通り過ぎてシャワールームに行ってシャワーを浴びた。シャワールームの中で口をゆすいだり、うがいを何度もする。それからタオルで体を拭いてロッカールームに行くと誰かがタバコを吸っていた。ボクは誰かが見ている前で服を着るのが嫌だったので少しの間立ち止まって待っていた。

 早くどこかに行ってくれないかな……

 前を隠しているタオルを取って全裸になって下着を着ている姿を見られるのは、なんだか恥ずかしい。しばらくするとタバコの吸い殻を灰皿に捨てて廊下に出てきた。ボクはその人と入れ替わりにロッカールームに行った。ロッカーを開けて急いで服を着ていると玄関のベルが鳴った。受付の方で話し声が聞こえてしばらくすると新しい客がロッカールームに顔を出した。個室とは違ってロッカールームは明るいのでお互いの顔がよくわかる。ボクは服を着ながら新しく来た客の顔をこっそりと見る。相手も服を脱ぎながらボクの方をこっそりと見ているのが分かる。

 好みのタイプかな……

 さっきまで別の人と寝ていたくせになんて現金な奴。いつも帰る寸前に好みのタイプが入って来たらくやしくてたまらない。でもチラチラと新しい客の方を見ると別に好みのタイプではなかった。相手もボクのことは興味がないようでさっさとシャワーを浴びに行ってしまった。ボクはどこかでほっとして、どこかで残念に思いつつ服を着てロッカーの扉を閉めた。それからタオルを脱衣カゴに入れてロッカーキーを持って受付に行った。受付にある鍵の返却箱に入れて靴を履いて玄関から出た。玄関から出て階段を降りていると、また別の新しい客とすれ違った。その人の足音に気がついて近づくにつれてドキドキしてくる。
 
 どんな人なんだろう……

 お互いに緊張しているのが分かる。すれ違いながらそれとなくお互いに顔を見ている。

 少し好みのタイプだったな。

 ボクはすれ違った後にそう思った。外に出て店の前に立ってさっきの彼がどんな人と抱き合うんだろうと想像すると寂しくなってくる。でももう一度店に戻るわけにも行かず後ろ髪を引かれる思いで店を後にする。店の近くには車が止まっていて運転席でスマホを操作しながらチラチラ見てくる男性がいる。きっとボクと同じ類の人だけど無視して車の横を通り過ぎて駅に向かう。

<つづく>
 
※過去に一度終わらせたんですが、もう少し続きを書いてみたかったので再開しました。