同性愛者の性長記録<16−2>

 ボクは柔道場で同じクラスのヨウスケ君と向かい合って立っていた。どうして2人きりの状態で柔道場にいる展開になったのか分からないけど、信じられないことに目の前に大好きなヨウスケ君がいた。

 ボクは高校時代に2人の男性が好きだった。同じクラスの松田君とヨウスケ君。もちろん中学時代からカミングアウトしていたので2人ともボクが同性愛者だということを知っていた。ただ松田君と違ってヨウスケ君の方はボクとかなり距離を置いていた。彼も同性愛者に好意を持たれてどう対処したらいいのか分からなかったようだ。特に悪く言ってくることもなかったんだけど怖がって距離を取っていた。ボクは諦めて遠くから彼を盗み見るように眺めて過ごしていた。ヨウスケ君はボクよりも少しだけ身長が高くて細身だった。あまり目立つ風な生徒ではなくて成績もよくも悪くもなくて特にこれといった特徴もなかった。でも何となくボクの好みの外見だったようで、ほとんど話したこともないのに彼に惹かれていた。

 そのヨウスケ君とたった2人で柔道場に立っていた。ボクらは2人とも柔道部でも何でもないのに……

 ヨウスケ君は黙ったままボクに近づいてきて抱きついてきた。「マジかよ!」と思いつつ恐る恐るボクも彼の背中に腕をまわして抱きついた。そのまま彼はボクを押し倒して畳の上に寝かせて服を脱がせ始めた。ボクも夢中になって彼の服を脱がせた。それからボクらはキスしたりお互いの下半身を触り合いしたりした。お互いに興奮しているようで下半身は反応しまくっていた。

 なんだヨウスケ君もボクのこと好きだったんだ。あぁ〜最高に幸せだな〜

 ボクは彼に抱きつきながらそう思った。ボクらが脱ぎ散らかした服が畳の上に散乱していた。裸で抱き合っている最中に誰かが来たらまずいと思いながらも衝動が抑えられなかった。

 あっ……ヤバイ。気持ちよくて頭がおかしくなりそう。

 それからボクは絶頂を迎えた。まさか片思いで終わると思っていたヨウスケ君とこんな関係になるなんて夢にも思わなかった。

 あれっ……

 ふと気がつくと目の前には見慣れた風景があった。さっきまで柔道場にいたのに突然に移動してしまって戸惑った。それから時間が経つにつれて少しづつ状況が分かって来て、目の前で見ている風景が自分の部屋の天井だと気がついた。

 なんだ夢だったのか……正月早々にとんでもない夢を見ちゃったな。
 
 確かNHKのラジオで除夜の鐘を聞きながら寝ていて、そのまま途中で起きることなく朝になってしまったようだ。

 やっぱりヨウスケ君とあんなことできる訳ないよね……

 欲望丸出しの夢が恥ずかしくて一人で照れ笑いしてしまった。そして起き上がって布団をはぐろうとした時だった。ボクは下半身がなんだか湿っているように感じた。「何だろう?」と思いながらパンツの中にそっと手を入れると液体がついた。どこかで見慣れた白いベトベトした液体だった。

 もしかしてこれって性液?

 幸いにして性液はパンツの中だけで収まっていてズボンは湿っていなかった。

 そう忘れもしない高校2年生の元旦。ボクは生まれた初めて夢精してしまった。
 
<つづく>

この文章は以下の記事の間に入ります。書き忘れていたのを思い出したので、追加することにしました。書くのも恥ずかしい内容なので、わざと忘れていたのかもしれません(笑)