LGBTブームと気持ちの変化<3>

 仕事が終わって家に帰ってからパソコンを起動してtwitterのタイムラインを確認していると気になる投稿を見つけた。

 

 福岡県のNPO法人でLBGTの啓発活動を行なっているtwitterアカウントから投稿だった。ジュンク堂のLGBT特集のコーナーにパンフレット[※]が置いてあって、福岡でLGBTの活動している団体リストを紹介されていた。その団体のtwitterアカウントを見つけたので気になってフォローしておいた。

 開催日時は2018年1月21日。開催場所は福岡市内の冷泉公園だった。ジュンク堂でLGBTのパレードのポスターを見た時は既にイベントは終わっていたけど、今回は2週間くらい余裕があった。すぐに1月21日のスケジュールを確認するとちょうど都合よく空いていた。

 どうしよう……怖いけど行ってみたい気がする……

 そう思ってはみたもののなかなか決心がつかなかった。どうするか決めるのは保留して、とりあえずGoogleカレンダーの中に予定だけ入力しておいた。それからしばらくの間、休みの日や仕事中もずっと頭のどこかにイベントのことが引っかかっていた。

 イベントの内容は、東京の渋谷区や世田谷区で成立した「同性パートナーシップ証明制度」に関連しているようだ。どうやら福岡市でも「同性パートナーシップ証明制度」を進めようと動いているらしい。でも理由は東京オリンピックとは関係ない。福岡で2019年にラグビーワールドカップの国際大会があるようで、福岡市長と福岡県知事の両方とも海外にアピールする目的もあって賛成して進めているようだ。ボクは福岡県に住んでいるにも、こんな動きが始まっていることを知らなかった。いや正確に言うと何かの新聞記事で読んだけど、どうせ途中で頓挫するだろうとタカをくくって適当に読み飛ばしていた気がする。

 東京オリンピックが近づくにつれて、世の中にLGBTの理解を広めていこうという動きが顕著になっていることは実感していた。11月に福岡天神のジュンク堂でLGBT特集の棚を見た後も、さらに動きが加速していると思った。最近ではLGBTに悩む登場人物が当然のようにドラマの中に出てくるようになっている。ゲイを扱った漫画で有名な『弟の夫』までドラマ化されるくらいだから、その勢いはすごいものだ。ただ一方で少しだけ不安な気持ちも抱いていた。LGBTの理解を普及させようという動きが加速する中で、それに反対する動きも世の中には存在するだろうし、どこで反対の動きが活発になるだろうという不安もあった。なるべく荒事にならないで落とし所が見つかればいいなと思っていた。

 ただそう言ってもボクの住んでいるのは福岡県とはいえ田舎だったので、LGBTの理解も何も進んでいなかった。試しに「○×市 LGBT」で検索しても全くヒットしなかった。「○×市 ゲイ」なんて検索すると、どこかの怪しげなゲイ向けの出会い掲示板がヒットするぐらいだった。福岡市のようにLGBTの理解を進めていこうなんて動きは皆無だった。

 1月21日がせまってくる中、仕事をしながらも頭の中でどうするべきか悩んでいた。

 ゲイアプリを通して職場の同僚にもゲイの人がいるのは知っていたし、イベントでばったりあったりしたら気まづいよな。でも出会ったとしてもお互いにゲイ同士だから周囲に広まることはないとは思うけど……ただボクと同じゲイだとしても職場の同僚にゲイだと知られるとめんどくさいな。

 そんな感じ悩んでしまってなかなか決心がつかなかった。

 でも……行かなくて後悔するくらいなら、とりあえずは行ってみたほうがいいよね。

 自分が昨年末に書いた文章を読み返しながらそう思った。昨年末からずっと何か具体的に動いてみると決めていた。どんな形であれまずは今年の目標を半歩でも進みたかった。ボクは何もしなくてもいいから当日にその場所に行ってみようと決めた。

<つづく>

おもてなしレインボーガイドブック - 福岡県庁ホームページ

※この章ですが過去に終わっていたのですが、進展があったので継続することにしました。