ゲイブログを書く前後<8>

 パソコンの前に座って、「さぁ文章を書こうか!」と思ってはみたものの、事前に何を書くのか全く考えていなかった。パソコンの前に座れば自然と文章が書けるだろうと楽観していた。

 とりあえず「ゲイの世界」を簡単に紹介していけばいいよね……あんまり踏み込んで書くとボクが誰なのか気づく人もいるだろうし……
 
 そう思って、あれこれ考えた末に誰かと会話しながら「ゲイの世界」の一端を紹介するという文章形式で書くことにした。

 過去に書いた記事は大半を消してしまって保管してなかったんだけど、探してみたら以下の文章が見つかったのでそのまま掲載することにする。

文章タイトル:こんなとこにも発展場

神原:前にたまたま行った銭湯が発展場になってたって話をしたけど、他にも公衆トイレとかもよく発展場になってるんだよね。
 
村上:公衆トイレも発展場に?・・・何でもありだね。
 
神原:これも偶然発見したんだけど、あるデパートの公衆トイレに、たまたま入った時、僕の後から入ってきた人が、隣で小便を始めたんだよね。4つくらい便器が空いてるのにすぐ隣で小便をするから、間隔あけてくれればいいのにとか思ってたんだけど、その人の顔が真横に向いてて、僕の方をガン見してたんだよね。内心「この人頭がおかしいんじゃないだろうか?」とか思ってたんだ。
 
村上:まぁ・・・君も頭がおかしいと思うけど。怖いな。俺はガン見されたら、マジギレ仕返すかもしれない。
 
神原:ガン見してた人は、僕が本格的に小便をし始めたから、こいつはゲイじゃないな?と判断したみたいだけど、僕は「怪しい人もいるもんだな〜ゲイか?」とか思いながら、トイレから出たら、その周囲に明らかに不審な人達が何人かたむろしてて、「あっ!ここ発展場になってるのかも」って思ったんだ。家に帰ってネットで調べたら案の定だった・・・
 
村上:ネットで調べて見つかるものなのか!
 
神原:これが見つかるものなんです。「○○トイレ  発展場」とか、ゲイ関連の掲示板を見てると、「何時に○○トイレに来る人いますか?」とか書き込んであるからね。ちなみに今はそのトイレも厳重に警備されれて、発展場ではなくなってるよ。監視カメラも設置されてるし、警備員巡回の張り紙もされてて、一般人から通報されたんじゃないのかな?大便の個室も改装されてて、発展場としては無理になってるよ。

村上:大便してるとこ覗かれるのは嫌だな。しかし一般人はえらく迷惑な話だな。
 
神原:ホントすみませんだね・・・不審者注意や警備員巡回の張り紙があったり、個室の中身が覗けるような構造のトイレは発展場の可能性が高いと思う。
 
村上:ところで・・・怖いもの聞きたさで聞くけど君はトイレで男同士でしたことあるの?
 
神原:絶対しないよ!w 汚くないかい?トイレに誘われた時点で萎えるなぁ。。

 以上が、過去に消した文章の一部だ。

 なんだか公開するのも恥ずかしいのだけれど、こんな感じで有料ハッテン場での出来事や過去にあった苦い思い出を書いていた。 

 どうでもいいネタバレをすると、この文章で書いたトイレとは福岡の天神にあるデーパートのトイレだ。実際に知らないままに偶然に訪れてしまって、同じゲイだから分かったんだけど「ここは野外のハッテン場になってるんだろうな」とすぐに気がついた出来事を文章にしている。

 確か15本〜20本くらいこんな会話形式の文章を書いたと思う。よくよく見るとあまり今と文章レベルは変わっていないような気もする。形式的には今の「ノンケ友人とのトーク」と同じなんだけど、一番の違いは、ひたすらボクの過去の出来事を2人で語り合うという形式だった。

 あれ? ボクはこんな文章が書きたかったんだっけ? なんだか自分が書きたいと思っていた文章と違っているような気がする……
 
 ただパソコンの前に座って文章を考えながら漠然と思っていた。当時は今のように毎日更新しておらず、週に1〜2回くらいしか更新していなかった。

 ある日、久しぶりにブログを開いてみるとある記事にコメントがついていた。

2人の会話が面白いです。更新を楽しみしています。

 ボクはコメントを見た瞬間に、ブログ自体を削除しまった。だってこんな文章を書きたくて読んで欲しくてブログを始めたわけではなかったから。会話形式なのは、これはこれで文章を書く形式としては「ありだな」とは思っていたけれど、ずっとこの形式で過去の出来事を振り返っていても何だか自分が書きたい文章とは違っていると思っていた。

 はてなブログにある「ゲイブログ」のグループにも登録していなかったから、同じゲイの人でもこのブログの存在を知らなかったと思う。

 ボクは『ボクの彼氏はどこにいる?』の本を開いて読み直したり、chunkさんのサイトを開いて文章を読んだりして自分の書いた文書のどこが気に入らないのか考えていた。それでようやく自分が書きたかった文章が分かった。

<つづく>