ゲイブログを書く前後<15>

 あれ……このはてなブログのゲイグループの管理人ってchuckさんじゃないか!


 ゲイグループの管理人には、見慣れた名前があった。まさかこのサイトを始めるきっかけになったchuckさんが、ここでまた目の前に現れてきたことに驚いた。

 ボクはこのはてなブログのゲイグループにすぐに登録した。

 chuckさんが管理人なら安心できると思った。それから他の参加者メンバーのサイトの文章を読んでみたり、気になった参加者のサイトを読者登録したりしていた。すでにボクのサイトを読者登録しているメンバーもいたりして、こんな場所でゲイブログを書いている人がつながっているとは全く知らなかった。

 このゲイグループだけど、存在意義はとても大きいように思う。ゲイブログをはじめて、このグループに登録しておけば、同じゲイ仲間が気がついてサイトにアクセスしてくれる。そうすればゲイブログを始めた当初は検索サイト経由などのアクセス数が少なくても、自分と同じゲイ仲間がサイトの存在に気がついて「読者登録」や「はてなスター」をつけてくれるからだ。

 自分と同じゲイ仲間が、自分のサイトに気がついてくれて、自分の書いた文書を読んでくれている。

 これはゲイブログを続けていく上で大きな支えになる。運営会社に操作されてそうな怪しいランキングになっておらず、ただ更新順に通知されるシンプルな表示になっているのもよかった。「さすがchuck様……ご慧眼に恐れ入ります」と平身低頭して敬服した。まるでお釈迦様の手のひらであばれる孫悟空のように、まだchuckさんの手のひらの上から抜け出せないでいるように感じた。

 へぇ……いろんなゲイの人が文章を書いているな。多種多様、十人十色、千差万別で面白いな……海外で書いている人もいるんだ……

 ボクは次々とサイトを開いて、内容を読んでいる時だった。ふとある疑問に思い至った。

 そういえば……ずっと前から思ってたんだけど、ゲイブログ書いてる人って、ボクと同じ30代中盤の人がいないよね?

 ボクはそう疑問を抱いてゲイグループに登録されたサイトを次々と開いては、管理人の年齢を確かめていった。やっぱり目につくのは20代の人ばかりだった。中にはボクよりも年上の人もいたけど少なかった。なんだか30代中盤だけが欠落しているように感じた。そして徐々に孤独感に襲われていった。

 もしかして……ボクが書いてる文章って、もう時代遅れなのかな? ボクみたいなおっさんが、学生時代にカミングアウトしていたこととか、大学時代にインターネットに出会ってゲイの世界を知って踏み出したとか、社会人時代にゲイであることを隠して生きてるとか、若い人には興味がないのかな? こんな文章を書いてて誰かが共感してくれることがあるのかな?

 なんだか急に自分の体験を文章に書いていることが恥ずかしくなってきた。

 やっぱりサイト……消そうかな?

 正直に書いてしまうと、今でも1ヶ月に1回は2回は、このサイトを消そうかな?とい思うときがある。いっそ消してしまって全てなかったことにして、昔のように有料ハッテン場の布団の上に寝転がっている方が楽だと思う時がある。

 そんなことを思いながら次々と別のサイトを開いて管理人の年齢を確認している時だった。あるサイトを開いて見ていると管理人が30代であることが書いてあった。

 あぁ……30代の人がやっと見つかった! 管理人の名前は……ヤシュウ?

   
<つづく>