ゲイブログを書く前後<27>

 その後、コメントを投稿してくれた人とのやり取りは続いて同じ九州に住んでいる25歳の男性だと分かった。彼とは今もtwitterのメッセージ機能でやり取りが続いている。そしてこの文章を確実に読んでくれている。

 彼から何度か「会いたい」とメールが来た。

 ボクは彼と会う勇気が持てなくて断り続けている。

 彼とメールのやり取りをしていると、目をそらしていた現実に否が応でも向き合うことになった。このサイトに文章を書き始めた時から、漠然と感じてはいたけど、あえて考えないようにしていたことがある。

 きっとこのまま文章を書き続けていたら、いつかきっとゲイとしての自分のままで誰かと会うことになるだろうという現実。

 中学時代や高校時代にあれだけゲイとしての姿を周囲に曝け出しておいて、大人になったボクは、それだけのことが怖くてしょうがなかった。大人になってカミングアウトしたのは一回きりだった。カミングアウトしたのも彼なら大丈夫という確信があったからだ。 

 ただ、『同性愛者の性長記録』の文章を書き終わった頃から、自分の中に心境の変化が起こっている事に気がついていた。自分の中で恥ずかしい部分をさらけ出してしまったことが影響しているのか、はっきりとは分からない。だけど明らかに心境が変化していた。

カミングアウトをすることがいいことなのかは分からない。でもボクはもう二度と公の場でカミングアウトをすることはないと思う。その思いに至ったのは高校時代の体験からだ。『カミングアウトの代償<1>』

 2017年の5月21日の文章で、ボクは二度とカミングアウトはしないと書いた。それなのに、2017年の11月中旬から始まった『LGBTブームと気持ちの変化』を書いている辺りから、タイトル通りに自分の気持ちの変化していることに気がついた。

 もう一度……カミングアウトしてでも前に進んでいきたい。

 そんな風に思うようになっていた。まさかたった半年ぐらいで、自分の心境がここまで変化するとは思わなかった。

 毎日文章を書いてきて感じてたんだけど、ボクはまだ残りの人生を独りで生きていくと決めてたくなかったんだと思う。そして自分の「過去」のことや「現在」のことを書いているだけでは駄目なんだと感じるようになっていた。

このサイトでは、まず自分の過去を振り返っていきます。時々は現在に考えていることも書いていきます。そしていつかここに書き留めていることがきっかけで、自分の未来が開けていけばいいかなと思っています。そして読んでいただいた方々にも、あぁーこいつはバカだな。と楽しい時間を過ごしてもらえればいいなと思っています。『このサイトを始めるにあたって』

 序章に『そしていつかここに書き留めていることがきっかけで、自分の未来が開けていけばいいかなと思っています』と書いたけど、「過去」と「現在」のことだけ書いていてはいけないと思うようになった。未来が開けていけばいいかな?なんて漠然とした気持ちではなく、きちんと自分自身で自分が望む「未来」についても書かないといけないと思うようになっていた。その自分の気持ちに素直に従ってある文章を書いた。

<つづく>