ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています@福岡

遠い場所の君へ<1>

 この文章は自分への思い出の1ページとして残しておくことを目的として書きます。読んでいてつまらないかもしれないけど、ボクの中ではとても大事な思い出なので読んでくれると嬉しいです。

  昨日、2018年3月24日に「ある人」のライブに行った。このゲイブログを書き始める上で、とても重要な人。あの日(2016年11月27日)にライブに行かなかったら、ボクは今こうやってこの文章を書いていないだろう。

 このブログを定期的に読んでくださっている人は知っていると思うけど、このブログを始めるきっかけになったものが3つある。1つ目は石川大我さんの書いた書籍『ボクの彼氏はどこにいる?』。2つ目はchuckさんが書いているゲイブログ『Only you can free yourself.』。そして最後の3つ目が『工藤慎太郎』という人だった。


 詳しい経緯は『ゲイブログを書く前後』に書いているので、そちらを読んで欲しい。ボクはゲイブログを一度書き始めてみたものの、自分の書きたかった文章とはかけ離れたもので、恥ずかしくなってサイトを丸ごと消してしまった。そして二度とネット上に文章を書くことはないだろうと諦めていた。そんなボクの背中をそっと後押ししてくれたのが、『工藤慎太郎』の存在だった。彼の歌を聴きながら

「かっこ悪くて恥ずかしいくてもいいんじゃない? 書き続けてみなよ。俺も歌い続けていくからさ」

 そうやって優しく背中を押してくれたように感じていた。

 ちょうど2月上旬で、このサイトで毎日文章を書き始めてから1年間が経過した。そんな時に彼のサイトを見ていると、福岡でライブをする予定が告知されていた。前回の2016年11月以来の福岡ライブだった。ボクは即座にスケジュールを調整して仕事を休みにして楽しみにしていた。チケットも予約が始まるのが待ち遠しくて毎日サイトの確認をしていた。

 一年間、毎日文章を書き続けたきた自分へのご褒美。

 そう心の中に決めて、ライブ当日を楽しみにしていた。そしてもう一つ「あること」を胸に秘めて当日が来るのを待っていた。

 彼のライブに行ってからCDは全て買い揃えていた。このサイトで文章を書く時、よく音楽を聴きながら書いている。通常はクラッシックやサントラなどの「音楽」を聴きながら書いていることが多いけど、工藤慎太郎さんの「歌」はよく聴きながら文章を書いている。特に工藤慎太郎さんのデビューアルバムの「ある歌」を聴きながら書いている時が多い。

 ライブ当日。

 このライブは工藤慎太郎さんの単独ライブではなくて、『オトリコ』という福岡出身のバンドのゲスト出演という形で彼も出演することになっていた。

 

 ただライブが始まってすぐにオトリコさんから『ニュースで流れているけど福岡空港でタイヤパンクの事故があって、まだ工藤慎太郎さんは到着していません』と告知された。ニュースを読んでも、「ふ〜ん。あっそ」と他人事のように思っていた事故だったけど、まさか思いっきり自分にも影響が降りかかってくるとは思わなかった。
 
 でも……工藤慎太郎さんに会えなくても、オトリコさんのライブをきちんと楽しもう。

 そう心に決めて聴いていた。全く知らないバンドだったけど、汗まみれになりながら、一生懸命に歌う3人の姿は素敵だったから。

 もうライブには間に合わないのかな……

 そう思って半分諦めかけていた。合間の休憩で、トイレを済ませて席に戻って来た時だった。突然に彼がステージに上がって来てマイクやギターの音の調整を始めた。ボクはその姿をじっと見ていた。半分諦めかけていた分、彼が突然に現れて胸が熱くなった。他にもじっと見ている女性が二人いた。そのうち一人は、前回のライブでボクの隣の席に座っていた女性だと気がついた。客席は埋まっていたけど、恐らく地元出身のバンドのオトリコのファンで埋め尽くされていた。ライブが終わって思ったけど、恐らく彼の歌を聴くことを目的にライブに来ていたのは、5人いるかどうかだと思う。それからマイクやギターの調整をしている途中、いきなり本気で歌声を上げて

 いま春が来て君は綺麗になった〜♪ 去年よりずっと綺麗になった〜♪

 そう歌い出した。歌詞が春を迎える今からの季節にぴったりなのだけど、イルカの『なごり雪』だ。休憩中の人たちがいきなりギターの弾き語りで歌い出した彼の姿を唖然として見ていた。そして音の調整を終えてから「ということで……最後の曲ありがとうございました。嘘です。一回引っ込みます。あと5分くらいお待ち下さい」という冗談と笑いを残して舞台の袖に去っていった。
 
<つづく>