LGBTシンポジウム参加レポ<2>

 会場に入ってしばらくすると「会場内の写真撮影や録音は禁止」だとアナウンスがあった。

 ただ、実際にシンポジウムが始まるとディスカッションの最中に、一般の参加者の中で、シャッター音を鳴らしながらスマホで撮影をしている人がいた。でも特に注意はされていなかった。撮影している人たちも一般の参加者の顔は写らないように撮影はしていた。マスコミの撮影は後半のパネリストのディスカッションのみだった。それも登壇者のみ撮影するように配慮してくれていた。

 もしかして……自分の顔が映されてどこかに掲載されるんじゃないの?

 そう心配していたけど、これだけ配慮してくれれば問題なかったので安心できた。もしボクと同じように市役所が開催するLGBTのシンポジウムに参加しようと思っている方は安心して欲しい。

 一番の問題は「会場で知り合いに出くわさないか?」という不安の方だった。もうこればかりは開催者にはどうしても配慮できない。

 ボクは席に座って「知り合いがいたらどうしよう……」と不安になってた。気がつくと少し手が震えていた。「いや〜なんとなく興味があってですね」と誤魔化すべきなのか、「実はボクってゲイなんです」と認めるべきなのか。ずっと、知り合いとあったらどう返答したらいいのか考えていた。ただ幸運だったのか知り合いと出くわすことはなかった。

 かなり早い時間に会場についたので、席に座っている人はまばらだった。ただそれからあっという間に人が増えていって、ほぼ満席状態になって200人くらいの参加者はいたと思う。

 ボクと同じゲイの人っているのかな……

 そうキョロキョロと周囲を見渡したけど、いかにもゲイぽい人はいなかった。ただシンポジウムが終わった後に気がついたんだけど、ボクのすぐ後ろの席に座っていた人が同じゲイだった。

 出席者の内訳は、質疑応答や雑談内容から推測していくと、LGBT当事者。障害者団体。医療関係者。NPO団体。そして一番多かったのが公務員の参加だった。福岡市や福岡県内の役所に勤務している関係者が多く参加していて、恐らく一般の参加者と役所関係者への勉強会も同時に兼ねてシンポジウムが開催されているようだった。

 高島市長は都合が合わずに出席できなかったため、福岡市の市民局長から市長のメッセージを代読した挨拶があった。手話通訳とパソコン要約筆記も同時に行われていた。ここからはノートの速記した内容をもとに文章を書いていくので、正確性に欠けるかもしれないけど、シンポジウムの雰囲気や内容を理解してもらうために文章を書いているので、あえて書き進めていく。

福岡市では国籍や年齢や性の違い。障害の有無の違いなどに関わらず、誰もが全ての人への思いやりを持ち多様性を認め合いながら、いきいきと活躍する街を目指しており、LGBTを含む性的マイノリティの人権問題につきましては、福岡市人権教育の啓発に取り組んできましたが、しかしながら性的マイノリティの方々の多くは、差別や偏見を恐れて、当事者であることを言えずに家庭内の孤立や、学校、職場、地域のパートナーとの生活など様々な困難に直面している。福岡市におきましては、このような当事者の方々の困難を少しでも解消するために、新年度からパートナーシップ宣誓制度などの導入など社会の理解を進めるために、性的マイノリティの支援のルーツにしっかりと取り組んでまいりたい。またこの取り組むを推進していくためには、市民や地域、企業、学校など社会全体で対話する形を取ることが重要だと考えておりますので、皆様のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 以上が、冒頭の挨拶だ。

 それから今日のシンポジウムの流れの説明があった。

 シンポジウムの流れは、「第一部」では、日本初のパートナーシップ制度を導入した渋谷区の担当課長を呼んで講演を行ってもらい、「第二部」では、福岡市で活動している当事者や企業や団体などの関係者を呼んでディスカッションを行うとの説明があった。

 ボクはどんな内容になるのか期待していた。いよいよ本題に入っていきます。

<つづく>