LGBTシンポジウム参加レポ<4>

 以前から、何度か触れているけど、ゲイの主人公が出てくる『しまなみ誰そ彼』という漫画本がある。ボクはこの漫画が好きで、先読み用のアプリまで入れて楽しみに読んでいる。第21話の最後のシーンで、主人公の「要介(かなめたすく)」と「誰かさん」という正体不明のアセクシャルの登場人物との会話がある。

 主人公の要介が「(誰かさんの)つかめない正体が『求めていないひと』だから、アセクシャルだからそうなのかな?って思うとなんとなくしっくりきます」と言った言葉に対して、誰かさんはこう答える。
 
 「ねぇ、たすくん。きみはゲイだから、たすくんってわけじゃないでしょう。」
 
 ボクはこの二人の会話が気になってなんども繰り返し読んだ。恐らくこの一連の会話が、作者が『しまなみ誰そ彼』の中で、伝えたい根幹になるような気がしている。

 ボクは永田氏が講演の中で言った、

「まずは自分の中の多様性に気づくことをされてはどうか?」とお勧めしています。

 という言葉を聴いて、すぐに『しまなみ誰そ彼』の二人の会話が思い浮かんだ。そして自分自身のことについて考えた。この辺は、この場で感想を書き始めるとキリがないので、いつか『しまなみ誰そ彼』のレビュー記事で一緒に書くことになると思う。恐らくボクの予想では、そろそろ完結すると思うので近いうちに書くことになると思う。

ーーー永田 龍太郎氏の講演に戻る。

●LGBT基礎知識

 日本ではどれくらいの人が性的マイノリティなのか正式な調査が行われていませんが、5%〜8%ぐらいではないか?と色々な調査で分かっています。

 

 LGBTという言葉で考えると、「性は多様ですね」ということを頭で理解していても、なかなか腑に落ちないことがあります。NHKで放送されていたドラマ『女子的生活』では、主人公が「T(トランスジェンダー)」で「L(レズビアン)」です。「LBGT」という言葉で理解しようとすると、トランスジェンダーでレズビアンの人が出てくると、頭がフリーズしがちになります。性の要素は、ざっくりとですが大きく分けて4つに分けることができます。

 

 実は「LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)」の人たちは、「3.好きになる性」について話をしています。「誰を好きになるのか?」という話をしています。それにくらべて「T(トランスジェンダー)」の人たちは、「2.心の性」について話をしています。「自分がどの性別だと思うか?」という話をしています。こうやって分けて考えると、『女子的生活』の主人公はトタンスジェンダー(2.心の性)で、レズビアン(3.好きになる性)と言われても、「あぁそうなんですか」とすんなり理解ができます。

 世界的な潮流の流れの話になりますが、先ほどの資料の「性のありよう」は、性的マイノリティを定義しているだけではなく、「全ての人たちの性のありようをこれで説明できますよ」ということを表しています。

  SOGI(ソジ) 
  SO(Sexual Orientation 性的指向)+GI(Gender Identity 性自認)

 世界的には「LGBTだけでなく自分を含めて全ての人の性のありようを尊重する」という考え方が広まっています。これを「SOGI(ソジ)」と言って世界的に使われることが多いです。

 

 カミンングアウトしている人がいるかいないかに関わらず、「いる」を前提として言葉遣いを気にしてみてはいかがでしょうか?という説明になりますが、ジェンダーニュートラルな表現があって、彼氏。彼女。旦那。奥さんという言葉を「パートナー」という言葉に置き換えることができます。

 前職の話ではあるのですが、こういったジェンダーニュートラルな表現について社内で話している時に、部下を沢山持った管理職の人がやってきて、「部下に彼氏はいるの?彼女はいるの?と言えなくなるけど、どう言ったらいいの?」とおっしゃっいました。そこで「パートナーという言葉を使ってみてはどうですか?」と提案してみましたが、すると半年経たないうちに、社内では彼氏、彼女、旦那、奥さんという言葉からパートナーという言葉が浸透してしまいました。なぜかというと、いろいろな理由があって結婚していても籍を抜いていたり入れていたり、いろんな立場の方がいたのです。そういった方にとってもパートナーという言葉は使いやすかった。全ての人にとって優しい言葉なので浸透していきました。ジェンダーに対して配慮するということは必ずしもLGBTにだけメリットがある訳ではなく、全ての人にとってメリットがあります。

<つづく>