ーーーディスカッション終了後の質疑応答の続き
●コーディネーター
Rainbow Soup(レインボースープ)代表 五十嵐ゆり
●パネリスト
渋谷区総務部男女平等・ダイバーシティ推進担当課長 永田 龍太郎
九州レインボープライド代表 三浦暢久(あなたの のぶゑ)
福岡県弁護士会 LGBT小委員会 LGBT小委員長 石田光史
株式会社 三好不動産 社長室 執行役員 松本茂規
→五十嵐氏
ご質問、お尋ねになりたいことがある方は挙手をお願いできますか?
→会場からの質問者
私は助産師です。この問題については無知でしたが、去年あたりから勉強しようと思うようになりました。「助産師として、どんな活動をしていったらいいのでしょうか?」、永田さんにご指導していただけると嬉しいです。
→永田氏
同性カップルでお子様をもうけてらっしゃる方や、ご出産される方もいるかと思いますが、出産だけでなく医療全般に関して、アクセスしづらいという状況にあります。
また医療全般で見ると、残念ながら医療関係者の方は「LGBTと医療」と言うと「性同一障害の話なので私は関係ない」という方が沢山います。
そうではなく「同性カップルの方が風邪で寝込んでいる時に、パートナーの人が付き添って病院に来たらきたらどうするのか?」とか、「患者のQOL(生活の質)を上げることが求められている中、話せないことがあるという状況で、コミュニケーションを取らなけらばならないというのは問題ではないでしょうか?」とか、そういう意識が医療関係者にはなかったりします。
そういった中で、お子様をもうけてらっしゃる性的マイノリティの方もいらっしまいす。「そういった方がいるかもしれない」という意識を持って、コミュニケーションを取ることが、すぐに明日からできることかと思います。もしくはそういった方々がいることを、ご同業の方が集まりになるような場で、ちょっと話をしてみるなど、そういったところから始めてみるのはいかがでしょうか?
→会場からの質問者
私は視覚障害者なので、目が全く見えないのですが、永田さんにご質問をさせていただきたいです。視覚障害者の世界でも、なかなか行政の方をお話をしても、実際には理解を示していただけないことが、かなり多くあります。私は仲間にもLGBTの方が何人もいます。ただ「行政の方がどこまでご理解いただけてるのかな?」といつも疑問視しています。
今後、福岡市がLGBTに関して取り組まれるということですが、「こういう風にやると、より行政とお互いの理解を深められる」というようなことがあれば、永田さんから教えていただけないでしょうか?
→永田氏
「行政に対して、なかなか理解があると感じられないということで、その中でどういった取り組みの可能性があるのか?」という質問と理解しました。
私も行政側の人間ですので、なかなか難しいところはあるのですが、行政だけでなく「どう組織の中で理解を醸成していくのか?」というところは、非常に難しい課題だと思っています。
ただ、性的マイノリティのことから一つ見えてくることがあります。
先ほど、三好不動産さんの企業の取り組みの説明の中で、二つの側面が行ったり来たりして出ていたのに気づきになりましたでしょうか?
「お客様の性的マイノリティ」の話と、「従業員としての性的マイノリティの話」を、行き来しながら話が進んでいたのに気づかれたでしょうか?
お客様へのサービスから性的マイノリティに対する気づきがあった企業は、そこから「社内の従業員にも性的マイノリティがいるかもしれない、もしくは今後入ってくるかもしれない」と考えて、性的マイノリティに対して対応を進めていかなくてはならないと思います。つまり両輪になっています。
その中で重要なのが、そもそも多様性を体現してない組織は、何をやったとしても最終的にはお客様に見抜かれると思います。障害がある方の雇用に関して、パーセンテージが引き上げられていていますが、やはり組織の中で、人材の多様性というのが、とても大事になのではないかと思っています。
指標にしてはいけませんが「LGBTレンドリーと謳っている企業」でも、「従業員にカミングアウトしている人が、誰もいないのは流石にどうなの?」と思われますよね?
LGBTのような性的マイノリティの方でも、障害を持ってらっしゃる方でも、同じだと思いますが、そういった方が、一緒に働く仲間にいるということは、100回の講義を受けるよりも、職場のような組織の理解を醸成する力があると思います。
→五十嵐氏
ありがとうございます。以上をもちまして、ディスカッションと質疑応答の時間を終了とさせていただきます。パネリストの皆さんに是非、大きな拍手をお願いします。
ーーーこれでシンポジウムは終了となる
合計で3時間のシンポジウムでした。
長い文章になったけど、全部読んでくれた人はいますか?
もし読まれた方は、どんな感想を持たれましたか?
シンポジウム全体の、8割は文章に起こせていると思います。質疑応答に関しては、もう一件ほど市役所の方から質問がありました。ただ所属の部署名なども挙げて、かなり具体的な質問だったので割愛することにしました。
ボク個人としては「なるほどな」と思う点もありました。「それはどうだろう?」と思う点もありました。きっと文章を読んだ人も、いろいろと思われたはずです。ただ、ボクはシンポジウムに来て良かったと思いました。ネットや本でもLGBTに関する説明を読んでいたけど、それでもシンポジウムという形で説明をしてもらって、いろいろと考え直すことができました。
最後に、ボクの感想を述べてから、この章を終わらせようと思います。
<つづく>