ゲイとして生きる君へ

中学時代に同性愛に目覚めカミングアウトしてました。過去や現在のことを綴っています。毎日更新中@福岡

ゲイ集う成人映画館の手記<15>

 お前。わざわざ成人映画館に行って、それだけで帰ったのかよ!

 そう思われた方も多いと思う。長々と文章を書いていて、それだけなんて……書いてるボクも申し訳なく思います。でも……ボクにはこれ以上は無理な理由があるんです。「縛り付けるもの」があって踏み込むことができないんです。

 そこで謝罪を兼ねて、別の人から聞いた成人映画館での出来事を書くことにする。

 その人とは5年くらい前に福岡の有料ハッテン場で出会った。

 前にも書いたけど、ボクは冬になると性欲が増してくる。彼とも、たまたま冬に有料ハッテン場に行った時に出会った。

 まだ開店して間もない時間帯に、店に入ると店内には二人しかいなかった。

 そのうち一人は40代くらいで休憩スペースで煙草を吸いながら、テレビを見ることに没頭していた。もう一人は30代前半くらいで薄暗い通路に立って暇そうにしていた。「あちゃ〜今日は人が少ないな」と思って、ボクも適当に壁にもたれて考え事をしながら時間を潰していた。すると通路に立っていた30代前半の人が、ボクの近くに来て50センチくらいの場所で立ち止まった。

 ボクは無視して腕を組んで考え事を続けていた。

 なんとなく隣の彼が徐々に距離を詰めて来ているのに気がついた。

 その日は、なぜか待っていても新しい客が来なかった。

 彼は腕を伸ばしてボクの手を握ってきた。

 その人のことは、正直に言うと全く好みのタイプではなかった。ボクの好きな寡黙で真面目そうなタイプというよりは、少し軽い感じの男性だった。きっと彼の方もボクのことは、大して好みのタイプではなかったんだと思う。ボクらは布団に寝転がって、特に何も進展のないままに会話を始めた。どうせ誰も来ないのだから、雑談相手には、ちょうどよかった。

 彼はボクの腕を枕にしてくつろいでいた。そして長々と、お互いの仕事や身の上話をしていた時のことだった、

「俺、子供が3人いるんだよね」

 彼は突然にそう言った。

「えっ? 3人もいるんですか? こんな場所に来て大丈夫ですか?」
「うん。まぁ……嫁には内緒で来てるけど」

 結婚して家族に内緒で有料ハッテン場に来てるゲイはかなりいる。そんなことで今更驚きはしなかった。

「じゃ……完全なゲイじゃないんですかね? バイですか?」
「う〜ん。バイでもないかもしれない。そもそも男には興味がない」

「それなら、なんで有料ハッテン場に来てるんだ?」と思いながら聞いていた。

「男に恋愛感情は抱かないけど、男とセックスだけしたい!」

 彼は照れ笑いしながら言った。ボクは彼の言葉の続きを待った。

「こんな店があるって知ったのは、3ヶ月前なんだ。それまでは知らなかった。まさか男同士でセックスする店があるとは思わなかったよ。それまで女としかセックスしたことがなかった。ただ3ヶ月前に男とセックスしてあまりに気持ちがよかったからハマった」
「へぇ……」

 こんな人に会ったのは初めてだった。ゲイであることを隠して結婚して家族に内緒で店に来ている人とは沢山であったことはあった。男とセックスする目的だけでハッテン場に来ている人で出会ったのは初めてだった。

「3ヶ月前に何があったんですか?」

 ボクは彼に対して興味を持った。

「え〜とね。3ヶ月前に大阪に出張に行ったんだ。その時に暇だったから、たまたま目についた成人映画館に入ったんだ」
「なんて映画館ですか?」
「確か『新世界』ってところだった」

 彼はボクの腕を枕にしたまま『新世界』での出来事をポツポツと語り始めた。

<つづく>