『カノホモ』を読み始めて一番最初に、主人公の安藤純が「いけ好かない奴」だと感じたのはP.29ページだった。
周囲に自分の全て(ホモであることなど)をさらけ出したときに、変わらずに受け入れてくれる信頼が持てないから仮面をかぶることにした。
簡単にまとめると、そんなことが書かれている
ボクはこの箇所を読んだ時に、はっきりと「いけ好かない奴」だと認識した。
物語が始まったばかりなのに、いきなり世の中を知ったかぶった風に生意気に思えたからだ。
この主人公は「人間を信じていない奴」だ。
こいつの過去に何があったっていうんだろう……
ちなみにボク自身は「人間を信じている奴」だ。
ただ紆余曲折があって「人間を信じている奴」から「人間を信じていない奴」になって、大人になってから再び「人間を信じている奴」に戻ってきた。
小学時代には「100人いて90人くらいの人間とは仲良くなれる」もんだと自然に思っていた。
時が経つにつれて「どうやら人間を信じてはいけない」という風に考え方が変わって来た。子供じみた幻想は徐々に崩れていった。どんどん減っていき60人になって、30人になって、10人になって、最終的には1人になってしまった。
「100人いて1人くらいの人間と仲良くなれるかも?」
そこまで落ち込んでしまった。
そこから再び人数が増えてくるというか、もう人間と仲良くなるとかどうでもよくて、自分がどれだけ人間を好きだと思うかどうかが重要だという風に考えが変わってくる。それが最終的に転職に関係してくるけど、ここでは長くなるので書くのはやめる。
「100人いて90人くらいの人間とは仲良くなれる」
とにかくボクは子供のような考えのまま中学時代になってホモに目覚めてしまった。
だから同級生から「男が好きなのか?」と質問されても、全く警戒することなく無防備に「そうだよ」と認めてしまった。
それとカミングアウトしてしまったのには、もう一つボクの特徴的な性格があるように思う。
ボクは、ある人の好きな面に気がつくと「好きだ」と言ってしまう、割と厄介な性格をしている。これは男性も女性も関係ない。男性だろうが女性だろうが、好きだと思ったら素直に口に出してしまう。
職場でも「この女性のこういう面が好きだな」と思うと、普通に口に出してしまう。それに口に出さなくても好きだというオーラが隠しきれずに、全開で出ているようだ。「神原くんって○○さん(女性)のこと好きよね」と冷やかされることがある。「さーあ。どうなんでしょうね」と答えつつも、嬉しそうに笑って答えてしまうから、周囲にはバレバレなんだと思う。
ただ……ボクとしては「好き=恋愛感情」とは違う意味なんだけど。
そういえば先日、LINE上である人と会話している時に、「結局は誰が好きなの?」と質問された。
ボクは質問されて「全員好きだけど?」と頭の中で思った。
「いや……だって全員好きでしょう? こんなに素敵な人間ばかりじゃない?」と思いつつも、適当に会話を合わせていた。
いつも自分を追い詰めているような生き方をしている、chuckさんが好きだ。
優しい人柄なのになぜか自尊感情が低い、ヤシュウさんが好きだ。
真面目にひたむきに生きようとしてる、白ぬーぼーが好きだ。うにょうにょうょょうょょうょょうょ〜
実際に会って話すと絶対に気が合いそうな、まるがもさんが好きだ。
実際に会って話すと絶対に気が合わなそうな、タナカさんが好きだ。
密かに人生の先輩として仰ぎながら文章を読ませてもらっている、エゾマルさんが好きだ。
酔っ払って文章を書くと本音が出て来て、その本音がボクと似ているAIR-Jさんが好きだ。
悔しいからどこが好きなのか詳しくは書かないけどTakatoが好きだ。
これ以上に名前を出すと本気で怒られそうだから控えるけど、たぬ吉さんが好きだ。うん……でもたぬ吉さんから本気で怒られてみたい。泣いて土下座しても許してもらえずに蹴られてみたい。なんだこの異常な願望は(笑)。
そして……どうやらshinさんのことが……かなり好きらしい。
あれ……どさくさ紛れ1名ほど初めて見かける名前を書いた気がする。まぁ……今は細かいことを書くのは控えよう。
とにかくボクは好きなところを見つけると、「好きだ」という言ってしまうか、「好きだ」というオーラを全開にしてしまう。
この厄介な性格はネット上の仮想空間だけに限らない。現実空間でも同じことをしている。男性も女性も好きだと思ったら好きと言っている。恥ずかしいけど子供みたいな性格だと思う。
ボクは子供の頃から人間を信じていた。そして人間が好きだった。
そして、ホモだとカミングアウトしてから、いろんなことがあって人間を信じなくなった。そして人間を嫌いになった。うまく人間と付き合えないことを、自分が人間を嫌いだからだと思い込んでいた。
でも大人になってから。もう一度、人間を信じるようになった。もう一度、人間が好きになった。
主人公の安藤純に対して、いけ好かない奴だと思ったのは、人間を信じなくなって、人間を嫌いになった、ボクの人生の中で一番嫌いな時期と重なっていたからだ。
<つづく>